日本の現行刑法は,原則として属地主義・旗国主義に基づき,犯罪が国内で行われたかまたは国外にある日本船舶・航空機内で行われた場合には,罪の種類を限定せず,また日本国民であるか否かを問わず処罰の対象にしている(1条)。行為・結果の一部分のみがそれらの場所で発生した場合もここに含まれる。〈国内〉とは,領土・領海(基線の外側12カイリまで)・領空内をいう。犯罪がそれらの場所以外で行われた場合は,国外犯として例外的に,次のように罪の種類・主体を限定して処罰している。(1)日本国民か否かを問わず,内乱・外患・偽造という重大な国家的・社会的利益に対する罪が犯された場合(2条)。(2)日本国民により,殺人等の重大な罪が犯された場合(3条)。(3)日本の公務員により,収賄等の職務上の罪が犯された場合(4条)。(1)(3)は国家保護主義に,(2)は属人主義に基づく。改正刑法草案は,国外犯の処罰の範囲を著しく拡大している。
執筆者:田中 利幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 日本の刑法は,属地主義・旗国主義を原則とするため(刑法1条),国内犯は,犯罪者の国籍・罪の種類を問わず処罰している。これに対し国外犯は,他の原理により,主体・罪種を制限して例外的に処罰している。したがって,国外犯の処罰には刑法8条により〈特別ノ規定〉が必要である。…
※「国外犯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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