ハエマンサス(その他表記)blood-lily
Haemanthus

改訂新版 世界大百科事典 「ハエマンサス」の意味・わかりやすい解説

ハエマンサス
blood-lily
Haemanthus

ヒガンバナ科マユハケオモトHaemanthus球根植物。熱帯アフリカおよび南アフリカに約50種があり,その多くが鉢植え用に利用される。花は花弁が退化したようなものが多いが,おしべとめしべが長く発達し美しい色がつき,また散形花序に密集して咲き,化粧用のはけや,だんごのような球形になる。マユハケオモトH.albiflos Jacq.は南アフリカ産で,白花を密集してつける。9月咲き。ハエマンサス・コッキネウスH.coccineus L.も南アフリカ産で,舌状の巨大な葉を有し,赤い花で9月咲き。センコウハナビH.multiflorus L.は熱帯アフリカ原産で,花茎約15cm,初夏に球状の散形花序に赤花を数十から100個もつける。ハエマンサス・ナタレンシスH.natalensis Pappeは南アフリカ原産で,花茎約20cm,橙色花をつける作りやすい品種である。マユハケオモトの仲間は,原産地では木陰によく育つので,弱光線下で栽培するのがよい。熱帯系のものは温室が必要だが,南アフリカ系のものは最低-2℃くらいで越冬する。鹿沼土,荒砂,ピート,畑土,くん炭それぞれ等量の混合土を鉢土にして培養する。肥料油かす,ハイポネックスなどを多いめに早く施す。繁殖分球種子により行う。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハエマンサス」の意味・わかりやすい解説

ハエマンサス
はえまんさす
[学] Haemanthus

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)ハエマンサス属の総称。南アフリカから熱帯アフリカ原産で、約60種知られる。園芸上は春植え球根草とし、一般に冬季は温室で栽培する。日本でも数種類がよく知られ、マユハケオモト(眉刷毛万年青)H. albiflos Jacq.は、葉は常緑で美しく、舌状を呈し、2~4枚つき、長さ15~20センチメートル、幅7~10センチメートル、やや多肉質である。10月ころ、約10センチメートルの花茎を出し、先端に散形花序をつくって小さな白色花を密生する。白い糸状の雄しべおよび花被片(かひへん)が、眉刷毛(まゆはけ)のようにみえ、名の由来となっている。またセンコウハナビ(線香花火Scadoxus multiflorus (Martyn) Raf.(H. multiflorus Martyn)は、葉は3~4枚つき、長楕円(ちょうだえん)形で長さ15~30センチメートル、質は薄く、冬は黄変する。30~50センチメートルの花茎を出し、先端に球状で径約15センチメートルの散形花序をつける。

[平城好明 2019年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハエマンサス」の意味・わかりやすい解説

ハエマンサス
Haemanthus; African blood lily

ヒガンバナ科ハエマンサス属の総称。アフリカに約 60種が分布する球根植物。中央脈を欠く幅広の葉が根出するものと,長い葉柄の基部が重なって偽茎を形成するものがある。多数の小花が太い花茎の頂部で散形花序を形成。仏炎包が花を取巻く。花被片は6個で,6本のおしべが花被から突出する。マユハケオモト H.albiflosは,眉はけを連想させる白い花序の様子から和名がつけられた。朱赤色の花序をつけるハエマンサス・カテリナエ H.katherinaeやハエマンサス・ムルティフロルス H.multiflorus,ハエマンサス・マグニフィクス H.magnificusなども栽培される。水はけのよい半日陰の環境を好む。冬期は5℃以上に保つ。

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百科事典マイペディア 「ハエマンサス」の意味・わかりやすい解説

ハエマンサス

熱帯〜南アフリカに原産するヒガンバナ科の球根植物で,約50種があり,温室や鉢植で観賞される。太い花茎の先に小さな花を密な散形状につけ,しばしば花序の基部にある総苞が大きく発達する。葉が多肉質で中央脈を欠き,2列生に根出するタイプと,薄質で中央脈があり,根出する葉柄の基部が重なり合って偽茎を形成するタイプとに大別される。南アフリカ原産のマユハケオモトは前者のタイプで,高さ10〜20cmの花茎の先に,大きな白い総苞に包まれた白花をつける。アカバナマユハケオモトは葉が花後に出,花は赤花。最近,偽茎を形成するタイプで,センコウハナビの和名をもつハエマンサス・ムルティフロールスが切花に用いられる。

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