改訂新版 世界大百科事典 「ハガツオ」の意味・わかりやすい解説
ハガツオ (歯鰹)
bonito
Sarda orientalis
スズキ目サバ科の海産魚。和名はカツオに似た大きな歯をもつ魚の意。別名キツネガツオともいう。ハガツオ属は世界に3種分布し,英名はきれいだというスペイン語に由来する。日本近海ではおもに南日本の沿岸域に分布する。体長1mほどになるが,ふつうは25~50cmくらいで漁獲される。体は紡錘形でやや側扁し頭が大きい。尾柄(びへい)の各側に強大な1本の隆起線をはさんで弱い隆起線が1対あり,全身にうろこがある。背側には藍青色の地肌に黒色のやや斜めに走る6~7条の縞がある。沿岸の表層近くを群れをなして泳ぎ,ときには大群となることがある。大きな口と歯で小魚や浮遊性の甲殻類を好んで食べる。一本釣り,巻網,引縄などで漁獲され,ときには定置網に入ることもある。肉が柔らかくさほど美味ではないが,刺身や照焼きとして食用になる。
執筆者:谷内 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報