ハサミアジサシ(読み)はさみあじさし(英語表記)skimmer

翻訳|skimmer

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハサミアジサシ」の意味・わかりやすい解説

ハサミアジサシ
Rynchops; skimmers

チドリ目カモメ科ハサミアジサシ属の鳥の総称。別名アジサシモドキ。3種からなり,アフリカ,熱帯アジアのパキスタンからミャンマー南アメリカから北アメリカにそれぞれ 1種ずつ分布している。全長 38~50cm。形態と羽色アジサシに似ているが,が縦に扁平で,下嘴が上嘴より長い奇妙な形をしていることで容易に区別される。採食の際には嘴を大きく開けて下嘴を水中に入れたまま水面すれすれに飛び,嘴にひっかかる魚類甲殻類をすばやくくわえとって食べる。視覚を使わないので日中でも夜でも獲物はとれるが,早朝,あるいは夕方暗くなってから採食することが多い。集団繁殖し,河原湖畔砂地地面に営巣する。生息環境はアフリカ,熱帯アジア,南アメリカでは内陸の川や湖だが,北アメリカでは沿岸である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハサミアジサシ」の意味・わかりやすい解説

ハサミアジサシ
はさみあじさし / 鋏鰺刺
skimmer

鳥綱チドリ目ハサミアジサシ科に属する海鳥の総称。この科Rynchopidaeの仲間は、全長38~45センチメートル、かつてはアジサシモドキとよばれた。おもに熱帯地方の海岸や内陸湖沼、河口域にすむ。この鳥の下嘴(くちばし)はごく細くしなやかで、上嘴よりも25ミリメートルほど長く、特殊な採餌(さいじ)法をもつ。夕方や明け方、また月夜に、静かな水面を下嘴で切るようにして水面すれすれに飛び、下嘴に当たる小魚や甲殻類を、開いた上嘴で挟みとらえる。夜には小動物が水面近くに浮上するので、餌(えさ)を得やすい。昼には砂州水際に群れて休む。小集団で砂州の地上に営巣し、2、3卵を産む。孵化(ふか)した雛(ひな)はまもなく巣を離れる。雛はよく泳ぐことができ、嘴は初め上下とも同じ長さであるが、飛べるようになると下嘴が長くなる。アメリカ、インド・東南アジア、アフリカに1種ずつ、世界に3種がいる。

[長谷川博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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