改訂新版 世界大百科事典 「ハスノハカズラ」の意味・わかりやすい解説
ハスノハカズラ
Stephania japonica Miers.
海岸近くに生える,ツヅラフジ科の常緑つる性木本。雌雄異株。全体無毛。葉は互生し,広卵形で楯状,裏面は粉白色。7~9月,複散形花序に淡緑色の小さな花をたくさんつける。雄花は萼片6~8枚,花弁3~4枚,6本のおしべは合着し,葯が楯状になっている。雌花では萼片,花弁とも3~4枚でめしべが1本ある。果実はつやのある赤色の核果。本州(東海以西),四国,九州,さらに中国,東南アジア,インド,ヒマラヤにまで分布する。この属はアジア,アフリカから約35種が報告されている。根と茎は日本でも昔,肺結核の治療薬として利用された。成分はセファラチン,ベルバミン,メチルエーテル等である。
近縁属のミヤコジマツヅラフジ属のミヤコジマツヅラフジCyclea insulorisが日本南部から台湾,フィリピンにまで分布している。
執筆者:寺林 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報