ハナキリン(読み)はなきりん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハナキリン」の意味・わかりやすい解説

ハナキリン
はなきりん
[学] Euphorbia milii Des Moul. var. splendens Ursch et Leandri

トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の低木状多肉植物マダガスカル原産。茎は暗褐色で分枝し、葉の基部に托葉(たくよう)の変形したといわれる2センチメートルぐらいの1対の刺(とげ)がある。葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ約5センチメートル、古くなると落葉する。冬や乾期の休眠期には完全に落葉する。春から秋にかけて葉腋(ようえき)から紅色の複合散形花序を抽出する。1個の花とみえるのが一つの花序で、花弁はなく、花弁状に赤くみえるのは包葉である。また、雄しべには節があり、これが退化した雄花であることを示している。ハナキリン類はマダガスカルに約40種あり、園芸品種も多い。托葉針は裂片状で稜(りょう)状につながったシロスジキリンE. leuconeura Boiss.や、葉が多肉化したキリンドリフォリアE. cylindrifolia M. Lapost et Rauh、さらに地下が塊根状のプリムレフォリアE. primulifolia Bakerなどの変わった種もある。

[湯浅浩史 2020年6月23日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハナキリン」の意味・わかりやすい解説

ハナキリン(花麒麟)
ハナキリン
Euphorbia splendens; crown of thorns

トウダイグサ科の多肉植物で,観賞用に栽培される。原産はマダガスカル島であるが 19世紀にヨーロッパへ紹介され,日本にも大正年間にもたらされた。高さ1~2mの低木状で,肌はやや角張り,緑褐色で平滑である。傷つけると白い乳液を出す。葉は分枝した枝の上部だけにつき,緑色で質が薄く,長さ3~5cmのへら形をしている。花は枝分れした花序につき,2枚の鮮かな赤色の包葉が目立つ。この包葉に抱かれるように小さな雌花と雄花があり,トウダイグサ属独特の杯状花序をなしている。

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百科事典マイペディア 「ハナキリン」の意味・わかりやすい解説

ハナキリン

マダガスカル原産のトウダイグサ科の多肉植物。小低木状で,茎は横にはい,よく枝分れし,鋭いとげがある。葉はへら形で革質,おもに若枝の先につく。3月ころから咲き始める花序(杯状花序)は深紅色の2枚の包葉に包まれ,美しい。観賞用として温室内で栽培,あるいは鉢ものとされる。挿木でふやす。
→関連項目トウダイグサ

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改訂新版 世界大百科事典 「ハナキリン」の意味・わかりやすい解説

ハナキリン

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世界大百科事典(旧版)内のハナキリンの言及

【ユーフォルビア】より

…茎葉を傷つけると白い乳液が出るが,その中からユホールeuphol,チルカロールtirucallol,ユホルボールeuphorbolやアルファアミリンα‐amyrinをはじめ,石油関連のステロイド系のトリテルペノイドの立体異性体が10以上発見されている。 常緑葉の有無,とげの有無や形,花梗が宿存するか否かなどで六つの群に大別されるが,主な種群は茎に稜ととげを欠く緑枝類,花梗がとげ状に宿存する花刺類,1対の托葉刺をもち,多くはそれが裂けるハナキリン類(裂刺類),茎は有稜で,花梗は宿存せず,針状刺をもつ対刺類の4群である。(1)緑枝類低木状で,葉は小さく早落性,枝は細い円柱形で,稜はない。…

※「ハナキリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」