ハナゴンドウ(その他表記)Grampus griseus; Risso's dolphin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハナゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

ハナゴンドウ
Grampus griseus; Risso's dolphin

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科ハナゴンドウ属。マツバイルカカマビレサカマタとも呼ばれる。体長は約 3.8mに達する。体重は 300~500kg。出生体長は 1.2~1.5m。体色は全身灰色が基調であるが,体側は藍ねずみ色や茶灰色を帯びる。腹部はやや淡色胸部に錨 (いかり) 型の斑紋をもつ。年を経るにつれ体表が著しく白化し,体側は淡色に,腹部は白色に近くなる。一般に頭部周辺の白さが増し,咬傷が白色痕跡として残り,体表全体が白くみえるようになる。噴気孔は1個で頭部正中線上に位置する。嘴 (くちばし) はなく,吻端から前頭部への傾斜はきわめて急である。前頭部は正面からみると逆三角形を呈しており,正中線がわずかにくぼむ。背鰭 (せびれ) は体の中央に位置し,高大で先端はとがり後縁は鎌状である。胸鰭は中央付近から後方へ曲る。下顎骨にのみ比較的大きい円錐歯が左右2~7対並び,成鯨になるとしばしば脱落する。活動的で,とびはねたり波に乗ったりする。通常群れは小さいが,まれに 4000頭をこえる大群をなす。野生や飼育下で,バンドウイルカとの雑種が記録されている。北大西洋での出産期は夏。甲殻類イカ類を捕食し,特にスルメイカ類を好む。両半球の熱帯から温帯にかけて分布し,深海大洋域や大陸棚斜面に生息する。日本では突棒漁業や追込漁の対象種であり,またスリランカでも捕獲される。

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改訂新版 世界大百科事典 「ハナゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

ハナゴンドウ (花巨頭)
Risso's dolphin
Grampus griseus

ハクジラ亜目マイルカ科の哺乳類。世界中の温帯,熱帯の外洋に分布するゴンドウクジラ型のイルカ。前頭部はほぼ垂直に立ち,前面には,縦のくぼみがある。くちばしはなく,歯は下あごにのみ数対ある。背びれは高く,体のほぼ中央にある。胸びれも比較的長い。幼体は,ほぼ全身黒褐色であるが,しだいに淡色となり,成体では淡灰色ないし白色となる。体表に仲間どうしの歯でできた引っかき傷が無数にあり松葉に似るので,マツバイルカの別名がある。体長1.5mで生まれ,成体では3.6~4.0mに達する。ふつう20~100頭の群れをなし,ハンドウイルカとも混群をつくる。船首波に乗ることはほとんどない。日本近海では,黒潮と対馬暖流域に生息し,おもにイカを食べる。このため,イカ釣漁業の妨害をするとしてきらわれることがある。また,沿岸の大目流し網などで相当数が混獲されている恐れがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハナゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

ハナゴンドウ
はなごんどう / 花巨頭
Risso's dolphin
[学] Grampus griseus

哺乳(ほにゅう)綱クジラ目イルカ科に属する海獣。成体の体長は約4メートル。新生児は背側が紫黒色、胸腹部が淡色であるが、成長するにつれて淡色となり、皮膚に寄生虫による花模様ができ、しかも歯による線状の傷が松葉を散らしたようにつくので、マツバイルカ(松葉海豚)ともいわれる。鎌(かま)状の背びれは比較的大きく、背の中央部に位置する。頭部は丸く吻(ふん)部がない。頭部前面に凹部がある。下顎(かがく)前端にのみ3~5対の歯が生える。尾部は比較的に細い。胸びれは鎌形で比較的長い。世界の熱帯・温帯域に広く分布する。数頭から30頭の群れをつくることが多く、他種と混じることもある。イカ類を好んで食べる。個体群量は多く、日本では沿岸小型捕鯨の対象鯨種である。飼育が可能である。

[西脇昌治]


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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「ハナゴンドウ」の解説

ハナゴンドウ
学名:Grampus griseus

種名 / ハナゴンドウ
科名 / マイルカ科
日本にいる動物 / ◎
解説 / 体の表面には白いかき傷、斑点、しみがあります。ほかのイルカ類といっしょに群れをつくることがあります。
体長 / 2.8~3.3m、最大3.8m
体重 / 最大約500kg
食物 / イカ、甲殻類
分布 / 熱帯から温帯の海

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