改訂新版 世界大百科事典 「ハナビシソウ」の意味・わかりやすい解説
ハナビシソウ (花菱草)
Californian poppy
Eschscholzia californica Cham.
5月の庭に黄または黄橙色の美しい4弁花を開くケシ科の一年草。原産地は北アメリカ西岸のカリフォルニア,オレゴン州。草丈は30~60cm,多数の枝を分けて細長い数回3出複葉をつける。全草無毛で軟質。花は分枝した花茎に単生する。初めはとんがり帽子に似た2枚の萼片につつまれているが,開花と同時に萼片は脱落する。花は日中に日をあびて開き夕刻には閉じる性質がある。おしべは多数,めしべは柱頭が4~6裂し中空の花托に着生する。改良された園芸品種には八重咲きもあり,花色も紅やピンク,白などがある。果実は細長く,熟せば縦に裂けて種子が散り,秋には辺り一面に実生苗が育ち,草原に広がっていく。種まきは9~10月。移植をきらうので,花壇には直まき法でばらまきするが,混み合ったところは間引きする。鉢植えには初めビニル小鉢に数粒の種子をまき間引きして2~3本とし,逐次鉢替えする。水はけのよい土を好む。耐寒性は強く,関東地方ではふつうは霜よけの必要がない。
ヒメハナビシソウE.caespitosa Benth.の園芸品種はミニアチュア・サンデューMiniature Sundewの名で栽植される。花径2~3cmのレモン・イェローの小輪矮性(わいせい)種で多花性。草丈は約20cmである。鉢植え,花壇,ロックガーデンに適している。
執筆者:浅山 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報