ハハスヤシ(読み)ははすやし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハハスヤシ」の意味・わかりやすい解説

ハハスヤシ
ははすやし
[学] Attalea cohune Mart.
Orbignya cohune Dahglren

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)オルビクニヤシ属22種中の1種。コフネヤシともいう。ホンジュラス原産。ハハスヤシの名は、本種の現地語名huahuazによる。幹は単一で直立し、高さ15~20メートル、径30~35センチメートル、葉柄の付け根が長期間幹に固着し、脱落後に浅い波状の環紋が残る。葉は濃緑色で光沢があり、斜め上に直伸し、長さ10メートル、上端付近で湾曲する。葉柄上部は幅11センチメートル、基部は幅40センチメートル、中軸背面は糠(ぬか)を帯びたようになり、両側と上面は光沢のある緑色を呈する。花は肉穂花序につき、雌雄同株で単性花をつける。雌花1個の両側に2個の雄花をつけ、3個1組の花が主花柄に着生し、小花柄には雄花がつく。雄花は長さ1センチメートル、雄しべは長さ0.5センチメートル、コイル線状に螺旋(らせん)をなし、先端に葯(やく)がある。雌花は長さ2.3センチメートル、径2センチメートル。果実は黒褐色、楕円(だえん)形で先はとがり、長さ7~8センチメートル、径5~5.5センチメートル、集塊状に結実し、果柄は下垂する。中果皮はほとんどなく、堅くて肉厚内果皮(核)、すなわち種子は角質、茶褐色で、3~5個の胞室がある。胞室には楕円形で長さ3.5~4.5センチメートル、径2~2.5センチメートルの白色胚乳(はいにゅう)があり、多量の油脂を含む。種子を砕いて蒸したのち、搾油する。油は種名のコフネを冠してコフネ油cofune oilとよばれ、アフリカアブラヤシ油とともに、良質のものとして知られる。栽培温度は10℃以上で、開花・結実には25℃以上を要する。

[佐竹利彦 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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