バシリスク(読み)ばしりすく(英語表記)common basiliscus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バシリスク」の意味・わかりやすい解説

バシリスク
ばしりすく
common basiliscus
[学] Basiliscus basiliscus

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目イグアナ科のトカゲ。同科バシリスク属に含まれ、中央アメリカ南部、エクアドルコロンビアベネズエラに分布し、全長50~75センチメートル、尾はその2分の1余りである。英名および学名は、息や眼光で人を殺したといわれるギリシア神話の怪獣バシリスク(バジリスク)に由来する。胴から尾の基部にかけて背中線上にひれ飾りが発達し、雄ではとくに著しい。また成長した雄の後頭部にはとさか状の頭飾りがあり、熱帯アメリカ産のカンムリバシリスクB. plumifronsでは二重の冠形となる。地上性で水辺を好み木にも登る。驚くと、体を立て後肢だけで飛び跳ねるように走り去る。さらに、短距離ならば水面上を沈まずに走ることができる。これは、指の縁の皮膚を広げ、水面を強くける力による。

[松井孝爾]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バシリスク」の意味・わかりやすい解説

バシリスク
Basiliscus basiliscus; basilisk

トカゲ目イグアナ科。中央アメリカにすむ草食性のトカゲで,体長 80cm内外。体は側扁し,尾は非常に長くてむち状になっている。後頭部は伸長して平たい出っぱりになる。雄の頭部にはとさかのような大きな飾りがあり,背から尾にかけての背面にも鰭のような飾りをそなえている。水辺の樹上に生息し,指の著しく発達した大きい後肢と長い尾を使って立上がり,疾走することができる。また,そのままの姿勢で水面を走ることもできることで有名である。

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