改訂新版 世界大百科事典 「ヘビ」の意味・わかりやすい解説
ヘビ (蛇)
snake
serpent
有鱗(ゆうりん)目ヘビ亜目Ophidiaに含まれる四肢の退化した爬虫類の総称。
ヘビ類はトカゲ類と類縁関係にあって両者で有鱗目Squamataを構成する。現生種は14科約2400種で,極地を除く世界の各大陸に広く分布し,日本には亜種を含め陸生33種,海生9種・亜種が分布している。今までに見つかった最大のものはアミメニシキヘビの全長9.9m,最小はロイターメクラヘビの約10cmであるが,大半は1~2mくらい。
形態
体型は極端に細長く,尾は全長の1/6~1/4ほどを占めるが,長いものは約1/3に達し,短いものでは1/10くらい。全身が細鱗で覆われ,多くの種では頭部が大型鱗に分かれる。腹面は胴部が幅広い腹板,尾部では1~2列の尾下板(びかばん),そして総排出腔が肛板(こうばん)となるが,半地中生や水生種では腹板,尾下板ともに退化的で幅狭く,大部分のウミヘビ類では痕跡的で,地中生のメクラヘビ類にはまったく認められない。すべて四肢を欠き,原始的な種では肛板の両側に後肢がつめ状の痕跡として残る。頭部はやや大きく頸部(けいぶ)がくびれるが,地中生では全身が同じ太さの細長い円筒形となる。
眼は透明な1枚のうろこで覆われてまぶたがなく,耳孔を欠く。頭骨では下側頭窓が形成されず下方が大きく開放され,方骨(ほうこつ)は上側頭骨を介して頭蓋にゆるく関節するため,これと関節する下あごを上下や前後に大きく動かすことができる。また下あごは先端が固着せず靱帯(じんたい)組織で結合するため,左右の下顎骨(かがくこつ)を別々に押し下げて,さらに口を大きく開くことができる。しかしメクラヘビ類は上側頭骨を欠き,下あごの前端は小骨を介して固着するため,口を大きく開くことができない。歯は鋭く細長くて多数あり,上あごでは4列,下あごでは2列が配列するが,毒ヘビでは上あごの一部が毒液を注入する毒牙(どくが)となっている。
脊椎(せきつい)は200~400個に及ぶ多数の脊椎骨からなり,各脊椎骨は巧妙な連結で,左右に約25度,上下に25~30度も曲げることができる。このような構造により,ヘビは自由に体を長くのばしたりとぐろを巻いたり,また獲物を巻き締めることができる。肋骨は1~2個の頸椎(けいつい)を除くすべての脊椎骨に1対ずつあり,胸骨を欠くため末端が遊離している。肋骨の末端は腹板,中央部は腹板に接する体鱗にそれぞれ筋肉で連結し,歩行の原動力となる。肩帯(けんたい)を欠き,原始的な種では腰帯が棒状またはY字形をした小骨の痕跡として残る。
生理,生態
一般にヘビの眼は大きいが視力は劣り立体視はできないが,動くものはよく見える。ハナナガムチヘビ属Ahaetullaやエダヘビ属Oxybelisなどの樹上生では,吻部(ふんぶ)が幅狭いため視野が前方で交差して立体視ができ,瞳孔(どうこう)も横長の特殊な形状となっている。ほとんどの種では瞳孔が円形であるが,クサリヘビ科Viperidaeやマダラヘビ類Dinodonなどの夜行性のものは縦長。地中生や半地中生の種では眼は小さく,一部では退化している。
聴覚はほとんどなく鼓膜も欠く。嗅覚(きゆうかく)は鋭敏でヤコプソン器官が発達し,さらに細長く先が二分した舌を出し入れしてにおいの微粒子を口内に取り込み,ヤコプソン器官に接することで獲物の存在を知る。舌はまた空気の振動や流れ,温度差などをも感じとる。
ニシキヘビ類の上唇板とマムシ類Crotalinaeの眼の前下方にあるピットpit(頰窩(きようか),孔器ともいう)は温度に敏感な器官で,とくにマムシ類のピットは薄い膜で仕切られ,内外2室の微妙な温度差を敏感に読み取る。左右1対のピットは哺乳類や鳥類の体表から発せられる赤外線を立体的にとらえ,暗闇でも正確に獲物に毒牙を打ちこみ,また人を含む危険な敵を攻撃することができる。
体の伸長に伴い内臓は長くなって湾曲が少なく,一般に左側は退化している。多くの種では左肺が退化し,右肺は長くなって後室部分は胴の1/2ほどに達し,ウミヘビにはほとんど末端まで達するものがある。また気管の後部は気管肺として幅狭い肺組織となっている。容積の大きな肺は空気を蓄えて遊泳中の浮力を増したり,胴を膨らませて威嚇に役だつ。
毒ヘビはほとんどが世界の熱帯・亜熱帯地域に分布し,約300種が致命的な強い毒をもつ危険種である。また弱毒種で人に対し実害を伴わないものも同数ほど知られている。毒牙には溝牙(こうが)と管牙(かんが)とがあり,毒腺からのびた導管が毒牙の基部に開口している。ヘビ毒は二次的には自衛手段に用いられるが,主目的は獲物に注入して抵抗力を失わせ,効率よく餌を得ることにあり,また毒成分中の酵素は餌の消化をも促す。一般の無毒ヘビは,獲物にかみつき強く巻き締めて窒息死させるが,そのままのみこむものもある。
餌は生きた哺乳類,鳥類,爬虫類,両生類,魚類で,幼ヘビや地中生のものはミミズ,ナメクジ,昆虫類を食べ,食性は成長に伴って変化する。鳥卵を好むものは,のみこんだあと,発達した脊椎骨の下突起で卵殻を押し割る。
ヘビの約3/4は卵生で,他はニホンマムシのような卵胎生である。肛門裂は体軸に直角に開き,雄には1対の陰茎があって交尾を行う。1回の産卵数は10~20個ほどで最少は2個,最多は100個あまりで,孵化(ふか)には一般には30~40日を要するが,早いものは日本産のヒメハブなどの1~2日で,ほとんど卵胎生に近い。長いものはエラブウミヘビの約5ヵ月。
生活圏は広く,平地から4000mの高地に至る,森林,草原,耕地,湿地,荒地,砂漠の地上,樹上および地中に生活し,一部は水中や海洋に及んでいる。また日本産アオダイショウのように人家周辺にすみつくものもある。日本のシマヘビに見られるように,大半が昼行性で日光浴による体温調節で行動し,夜は巣穴に潜る。
行動は体を左右に波動させるヘビ特有の蛇行運動によるもので,蛇行による力学的な力の合成で前進するとともに,肋骨を支持物に押しつけながら起伏させる。幅広い腹板は複雑な地形に対応してキャタピラの役割を果たすとともに,角張った両端が横滑りを防いでいる。アオダイショウなど好んで木に登るものは腹板がより角張り,これを樹皮に引っかける。樹上生の種は体がより細長く,とくに尾部が長いが,地上生ではマムシ類のように胴が太く尾の短いものもある。胴がとくに太いものや体重の重い大型のニシキヘビ類は,体をのばしたまま腹壁を波打たせ,ほふく運動を行う。
ミズヘビ類をはじめ多くの種は好んで水に入り,遊泳も巧みであるが,海洋生のウミヘビでは尾部がひれ状に側扁している。日本産タカチホヘビのような半地中生では吻部が長く丸みを帯びるが,土掘り用としてシャベル状に平たくなったものもいる。大部分の毒ヘビを含め夜行性の種では瞳孔が縦長で,昼間は瞳孔を絞って樹上や薄暗い場所で休むが,半地中生のものも夕暮れや早朝に行動する。毒ヘビのうちサンゴヘビ類Micrurusや南西諸島産ワモンベニヘビ類Calliophisなど鮮やかな標識色をもつものは,昼行性であり,いわゆる警告色としての効果をあげている。
一般にヘビは性質が温和で逃げ足が速く,毒ヘビといえども自衛目的以外に進んで人を攻撃することはない。多くの種は頸部や胴を膨らませ,尾を激しく振動させたり,噴気音で威嚇するが,一部では擬死(ぎし)をして見せる。ほとんどは体色斑紋が有効な保護色となるが,体色は変化しない。尾は自切も再生もしない。
系統,分類
ヘビの起源はトカゲ類を祖先としてジュラ紀に分化したものと考えられるが,化石が少なく,祖先型を系統的に知ることはむずかしい。最古の化石は北アフリカの白亜紀前期の地層から発見された,ラッパレントフィスLapparentophisなどで,現生のパイプヘビ科に近縁である。現生種は主として頭骨,脊椎骨の相違により3群(下目)11科に分類される。
(1)メクラヘビ群 まったく地中生活に適応したミミズ型で,頭頸部から尾部まで同じ太さであり尾がきわめて短い。腹板は分化せず,多くの種では腰帯と後肢の痕跡が小骨として体内に残る。世界の熱帯,亜熱帯に分布し,全長約10~30cm。上あごにのみ歯があるメクラヘビ科Typhlopidae約180種,下あごにのみ歯のあるホソメクラヘビ科Leptotyphlopidae約50種,そして両あごに歯を有し腰帯の痕跡を欠くアメリカミミズヘビ科Anomalepididae約20種が含まれる。
(2)ムカシヘビ群 頭骨の構造が原始的で,多くの種ではつめ状をした後肢の痕跡をもつ。世界の熱帯,亜熱帯に分布し,ヘビの最大種アミメニシキヘビ,アナコンダをはじめ大型種が含まれる。半地中生のパイプヘビ科Aniliidae6種,サンビームヘビ科Xenopeltidae1種,トゲオヘビ科Uropeltidae43種,やすりのような体鱗をもつ水生のヤスリヘビ科Acrochordidae3種および大半が大型種のボア科Boidae65種の4科が属する。
(3)ヘビ群 頭骨の構造などの進化が進んだ一群で,毒ヘビを含む現生種の大部分がこれに属し,3科に分類される。生態環境に適応してさまざまな形態に分化し,分布はヘビ亜目と同じ世界各地に及んでいる。ほとんどが全長1~2m。ナミヘビ科Colubridaeは腹板がよく分化し,腰帯や後肢の痕跡はまったく認められない。日本産無毒ヘビの全種(メクラヘビを除く)をはじめヘビ総数の2/3ほどが含まれる。一部では上あごの後方に溝牙を生じ,少数が毒性の強い危険種。コブラ科Elapidaeは上あごの前部に溝牙を生じ,すべて毒性の強い危険種。コブラ,アマガサヘビ,サンゴヘビ,ウミヘビ類など約230種が含まれる。クサリヘビ科Viperidaeは上あご前部に可動的な管牙をもつ毒ヘビで,約180種が知られる。ピットをもつマムシ亜科と,これを欠くクサリヘビ亜科および体鱗に顕著な隆条のある樹上生のトゲオマムシ亜科に分類される。
人との関係
ヘビは他の生物に比べ一般に嫌悪されることが多いが,危険種は毒ヘビに限られ,大型のニシキヘビ類でも人を襲う例はきわめてまれである。無毒ヘビは小鳥や雛,卵を捕食する反面,農林業に大きな被害を与えるネズミ類を捕食して,役だっている。一部がペットとして飼育されるほか,皮革細工の材料として重用され,また医療や民間薬用および食用に供される。
執筆者:松井 孝爾
伝承,民俗
日本
古語は〈へみ〉,各種の蛇を総称し巨大なものを〈おろち〉と呼んだ。そのものを直接ささない忌詞(いみことば)として形が似ているから〈くちなわ〉ともいい,西日本では普通語として用いる。アオダイショウ(アオナブサ),ヤマカガシ,シマヘビ,カラスヘビなどは色彩や形の大小から呼ばれるもので,地方によって同種にも異称が多い。有毒蛇は区別されてヒバカリ,マムシ一名ヒラクチ,南西諸島のハブなどが恐れられる。ハブは反鼻と文字をあて,ハムすなわち〈かむ〉からその名がきたもので,また古語〈へみ〉〈はみ〉のなまったものともいえる。ハブは罪ある者や悪人を見分けてかみつくと信じられ,これを打つと称した。忌詞やこうした伝承から,蛇が古くは神霊の化現とみなされ,その行動を神聖視したと考えることができる。したがって蛇を見ることを忌み,それを直接指さすと指が腐るといって切り捨てるまねをしたり,夜,口笛を吹くと蛇がくるといってこれを戒めた。とくに白蛇は神使(しんし)として神聖視し,屋根裏にすむアオダイショウなどを家の神として敬ったのもネズミの天敵として有益な働きをしたからであろう。ことに蚕を害される養蚕農家などが蛇を尊んだこともうなずかれる。水辺湿地に多く生息するので,水の神の姿またはその使者とみて蛇に雨乞いをし,また水利の豊かなことを祈る習俗も各地にある。祭儀に藁蛇をつくって神社に飾るのもその祭神がもと蛇の姿と想像されたからであろう。
たとえば諏訪神社などはその一例であるが,古くは神が小蛇の姿をして女人と契ったという三輪山伝説もあって,必ずしも水辺の神のみが蛇と考えられたわけではない。むしろ,これは世界の諸民族に共通の信仰ともいえ,野生動物が人間の女性と通じて生まれた子が,一族の祖となったという伝承の日本版ともいえよう。中世までこの伝承は残って九州の名族緒方氏や越後の五十嵐氏の祖先は大蛇の子孫であると称し,そのしるしとして代々鱗形のあざが身体にあるともいわれ,家紋をうろこにかたどっていた。こうした観念は近世まで民間に残って,山野で働く女性が昼寝などをして蛇にみいられ,蛇の子を生んだとか,そのような場合にどのようなまじないをすれば安全であるといった話が,全国的に伝承されている。そのために現在まで蛇を恐れあるいは憎んで必ず殺す土地があり,天敵がいないためネズミの繁殖がはなはだしい場合もあるという。これらはことに漁村に伝えられ,船では蛇を忌んでナガモノといい,蛇の話をさける風習も広く行われてきた。このほか家系についたつきものとしての蛇霊もあって,壺に小蛇を封じて家の神としてまつり,家運の繁栄を願うとその霊が家系に敵対する他の家人にとりついてこれを悩ませ,飼主の家を守護するといった伝承があり,瀬戸内海沿岸ではトウビョウなどと呼ばれる。これは家の守護霊として福運をさずけ,夢にみても金がもうかるといった蛇についての在来信仰と,中国から伝えられた蛇蠱の話とが結びついたらしい。このように蛇の霊力を認めるところから,蛇の肉や胆に薬効があるとして生きたまま,またはかばやき,乾物,黒焼きなどとして内服し,酒につけておいてその液を飲むなどの方式で,おもに強壮剤として用いることが現代でも盛んに行われ,蛇の捕獲は職業としても成り立っている。とくに毒のあるハブやマムシは薬効も大きいと信じられ,利用者も多い。
→蛇婿入り
執筆者:千葉 徳爾
中国
中国では,古代人は大蛇や毒蛇と闘った経験から,これを畏怖するあまりに蛇を山または水の神霊とみなし,神を人面蛇身に形象するほか,神が蛇を操り,または耳輪にするなどと考えたことが古神話の書《山海経》にも多く見られる。神霊が蛇体であると考えられた結果,山神,水神が大蛇となって人間の処女に通い,またはこれを犠牲として要求するという型の伝承も多い。一方では,蛇の形態や習性から陰性にして邪淫なるものとし,さらに女性に結びつけ,蛇が美女に化し人間の男に通って憔悴(しようすい)させ,のち法術をよくする僧や道士によって調伏されるという〈蛇精の淫〉型の話もあった。これが杭州西湖の雷峰塔に付会されたのが有名な白娘子と法海禅師の物語である。ただし民間の昔話では,母親が子どもを欲しいと願って小蛇を生み,その蛇が成長して妻をめとったのち夜は人に変じたが,最後には皮を焼かれて原形には復さなかったという〈蛇郎君〉の話も行われている。
執筆者:沢田 瑞穂
西洋
蛇はその冷たい眼,独特のはい方,毒などから古来魔的な存在として恐れられるとともにあがめられてきた。ギリシア神話には,テュフォン,ピュトン,ヒュドラなど,地下や水の世界と結びつく多くの蛇身または蛇そのものの怪物が登場する。死者の魂が蛇の姿をとることは墓の絵や浮彫からよくうかがえるが,これは地下の冥界におもむく死者と地中にすむ蛇との連想に由来すると解釈される。地中にすむ動物として蛇は未来を占う力をもち,神託に役だち,お守りになり,またその身体のすべての部分が民間医療につかわれてきた。
世界中の民族の間で蛇崇拝やシンボルとしての蛇の存在の知られていないところはないくらいである。エジプトのクヌム,インドのビシュヌ,北欧のオーディンなどは蛇と強く結びついた神で,旧約聖書の《列王紀》下18章4節にはイスラエル人が蛇に香をたいてあがめたことがしるされている。同じ旧約の楽園の蛇は悪,とくに誘惑の原理をあらわし,これは後世しばしば女の首をもつ姿で絵に描かれる。蛇はイブと関係して全人類に罪をもたらしたとか,蛇とユダヤ人の老婆との間からアンチキリストが生まれたとされた。
しかしまた,聖書に〈蛇のごとくさとくあれ〉(《マタイによる福音書》10:16)とあるように,蛇は昔から賢い存在とされる。それで古代オリエントや古典古代では占いにつかわれた。たとえば白蛇との出会いは吉で,黒い蛇との出会いは凶とされたり,蛇の夢を見るのは死を示すとされた。ゲルマン神話では人間たちが住んでいる大地ミズガルズをめぐる海に大蛇ミズガルズオルムがすみ,大地をぐるりととりまいて自分のしっぽをかんでいる。海が荒れるのはこの大蛇が激怒して尾で海の水を打つからだとされている。この蛇などは海のシンボルと考えられる。また宇宙樹イグドラシルの根もとに竜ニーズヘグがいてそれをかじっている。これは宇宙の存立を害するもののシンボルであろうか,それとも刻々過ぎゆく時のシンボルであろうか。
また蛇は死んだ人の魂の化身ともされる。この民間信仰は幸福を呼ぶ家つきの蛇と結びつく。ドイツやスイスでは蛇が家にすみつくことを喜び,食事や牛乳を与えて養う。蛇は人間に危険が迫っていることを知らせたり,ネズミの害や火事や落雷から守ってくれる守り神として人々に大事にされた。このような蛇を殺すと家に不幸が訪れるという。家の守り手ということと関連して蛇あるいは竜(ドラゴン)が宝を守るという信仰もドイツ中世のニーベルンゲン伝説やギリシアのヘスペリデスの園のリンゴの伝説などに見られる。蛇はさらに何度も脱皮して若返ることから再生と不死身のシンボルになっている。このため強い治癒力をもつとされ,ギリシアの医神アスクレピオスは蛇のからまった杖をもつ。同様の杖は,ヘルメスの持物でもあり,カドゥケウスと呼ばれる。なお,蛇の皮は解熱剤になり関節炎にきき,血は肺病,脂肪は強壮によいとされ,肉を食べると鳥のことばがわかるとされた。
→竜
執筆者:谷口 幸男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報