日本大百科全書(ニッポニカ) 「バスケス」の意味・わかりやすい解説
バスケス
ばすけす
TabaréRamon Vázquez Rosas
(1940―2020)
ウルグアイの政治家。首都モンテビデオの生まれ、少年時代は新聞配達や日雇いの労働で家計を支えた。19歳で貿易会社に就職したが、同時に大学の医学部に通い勉学を続けた。両親と妹を癌(がん)で亡くしたことをきっかけに勉学に専念、卒業後、国内の病院で放射線科の医師として勤務し、1972年、癌・放射線医療専門医の資格を取得した。1976年、フランス政府の国費留学生としてパリの研究所に留学。1987年からウルグアイの共和国大学医学部で教鞭(きょうべん)をとり、医学論文も数多く発表した。
その後、政治の道に入り、1990年から1995年までモンテビデオ県知事を務めた。1994、1999年の大統領選に出馬したが、落選。2004年10月、バジェ大統領の任期満了に伴う大統領選で、左派連合「進歩会議・拡大戦線・新多数派」総裁として出馬し当選。2005年3月、大統領に就任し、ウルグアイ初の左派政権が正式に発足した。2009年10月の大統領選では過半数を獲得できず、翌月に行われた決選投票でムヒカ元農牧大臣に敗れた。
[金子 亨]