日本大百科全書(ニッポニカ) 「バッテラ」の意味・わかりやすい解説
バッテラ
ばってら
サバを用いた押しずしの一種で、大阪のすし店「鮓常(すしつね)」が明治時代の中ごろに考案したもの。初めはコノシロを酢じめし、半身を用いてすしにしたところ尾がぴんとあがり、小形のボートに似た形になった。そこで、ポルトガル語で小形の舟を意味するバテイラbateiraとよばれるようになり、バッテラと変化したといわれている。のちにコノシロの漁獲が減り値が高くなったので、サバにかわった。作り方は、サバを三枚におろし、まず数時間強めの塩をしてから酢でしめる。皮を取り除き、薄く身をそぎ、すし枠にサバを並べる。すし飯を詰めて押して抜き、あわせ酢で煮た白板昆布(しろいたこんぶ)をのせる。サバを薄く切って使うため安価で庶民的なすしである。