日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルサ」の意味・わかりやすい解説
バルサ
ばるさ
balsa
[学] Ochroma pyramidale Urb.
アオギリ科(APG分類:アオイ科)の常緑高木。中央アメリカから南アメリカ北部の熱帯地域原産。高さ30メートル、径40センチメートルになる。葉は互生し、三角状心臓形で、長さ20~30センチメートル、浅く5~7裂することもある。花は大きく、黄色から灰褐色で柄の先に一つずつ開く。花弁は5枚で長さ10~15センチメートル。果実は線形で約30センチメートル、赤みを帯びた線毛がある種子が詰まっている。成長が速く、1年間に4メートルも伸びるといわれる。材は黄みを帯びた白色で、木目(もくめ)が正しく、軟らかくて、比重は0.2以下。原産地では古くから筏(いかだ)として使われ、ペルーからポリネシアのラロイア環礁までを1947年に筏で航海したヘイエルダールのコン・ティキ号も、この材でつくられた。またかつては救命用具などの浮材として使われ、さらに絶縁性を利用して防音装置などにも利用された。工作しやすく、玩具(がんぐ)などにも利用され、模型飛行機の骨材としても広く知られている。
[星川清親 2020年4月17日]