バルボア(読み)ばるぼあ(英語表記)Vasco Núñez de Balboa

デジタル大辞泉 「バルボア」の意味・読み・例文・類語

バルボア(Vasco Núñez Balboa)

[1475ころ~1517]スペイン探検家パナマ地峡横断し、1513年にヨーロッパ人として初めて太平洋を発見、南の海と命名。のちパナマ総督と不和になり処刑された。

バルボア(〈スペイン〉balboa)

パナマの通貨単位。1バルボアは100センテシモ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「バルボア」の意味・読み・例文・類語

バルボア

  1. ( Vasco Núñez de Balboa バスコ=ヌニェス=デ━ ) スペインの探検家。新大陸征服者一人。一五一三年パナマ地峡を横断、ピサロとともに西欧人ではじめて太平洋岸に出、「南の海」と命名した。(一四七五‐一五一七

バルボア

  1. 〘 名詞 〙 ( balboa ) パナマの通貨単位。一〇〇センテシモに等しい。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルボア」の意味・わかりやすい解説

バルボア(Vasco Núñez de Balboa)
ばるぼあ
Vasco Núñez de Balboa
(1475―1517)

スペインの探検家。「南の海(太平洋)」の「発見」者。スペインのヘレス・デ・ロス・カバジェロスの生まれ。1501年ロドリゴ・デ・バスティーダス指揮の探検航海に参加してベネズエラからパナマの大西洋岸地方(ティエラ・フィルメ)を巡った。その後、サント・ドミンゴ市で暮らしたが、借金から逃れるため、樽(たる)の中に身を隠してふたたびティエラ・フィルメへ向かった(1510)。現地では、アロンソ・デ・オヘーダが率いた先発隊が、飢えや先住民の攻撃に苦闘していた。バルボアは、前の航海で入手した知識を生かして、安全な土地に新しい居留地ダリエンの建設を提案、実行するなどして仲間の信望を独占したが、一方では、植民権利保持者ディエゴ・デ・ニクエサを捕らえ、老朽船に乗せ、大海に放逐した。その後、ダリエン総督としてパナマ地峡地帯を探検中、土地の住民から、山越えに海が開け、黄金の地(ペルーのこと)があると知り、地峡縦断を敢行し、1513年9月25日、太平洋を「発見」した。この朗報を本国に送り、自らが黄金の地の開拓にあたるものと期待したが、本国が任命した総督ペドラリアスダビラによって逮捕され、処刑された。

[青木康征]


バルボア(パナマ)
ばるぼあ
Balboa

パナマ中部、パナマ市西方のパナマ運河の太平洋側入口にある港町。人口2336(2000)。パナマ運河通航のためのドックや給油施設のほか、運河の管理事務所がある。地名は、ヨーロッパ人として初めてパナマ地峡を越えて太平洋に到達した、スペインの探検家バルボアにちなむ。

[今野修平]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「バルボア」の意味・わかりやすい解説

バルボア
Vasco Núñez de Balboa
生没年:1475?-1519

スペイン人コンキスタドール(新大陸征服者)。1500年コロンビア沿岸の探検に参加し,のちイスパニオラ島でエンコミエンダを受領。10年エンシソFernández de Encisoの率いる遠征に加わりパナマ地方に向かい,ダリエンに新大陸最初の都市を建設。エンシソをスペインへ追放して実質的な指揮権を掌握。その後,金を求めてパナマ地峡を横断し,13年9月25日,〈南の海(マール・デル・スール)〉つまり太平洋を発見。のち,カスティリャ・デ・オロ(ダリエン)の総督ペドラリアス・ダビラPedrarias Dávilaと反目し,19年初頭斬首された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルボア」の意味・わかりやすい解説

バルボア
Balboa, Vasco Núñez de

[生]1475? レデロスカバレロス
[没]1519.1. パナマ
スペインの探検家。太平洋の発見者として知られる。 1501年出航。ヒスパニオラ島に定住。 10年パナマに渡り,ダリエンでアメリカ大陸で安定した最初の集落サンタマリアデラアンティグアを発見。同年フェルナンド2世 (カトリック王) によりダリエンの総督に任命された。 13年9月パナマ地峡を横断し,サンミゲル湾近くの丘から太平洋を発見,ヨーロッパ人としては最初の太平洋発見者となった。フェルナンド王により南洋,パナマ,コイバの総督に任命されたが,にせの反逆罪を宣告されて処刑された。

バルボア
Balboa

パナマ中部,パナマ運河南東部の町。運河の太平洋側出入口にある港町で,運河の東岸に位置し,アンコン丘陵をへだてて東のパナマ市に相対する。 1914年建設され,太平洋の発見者バルボアにちなんで命名された。 1903~79年アメリカ合衆国の管轄下にあり,運河地帯太平洋側の行政中心地であった。大規模な港湾施設,乾ドック,船舶や鉄道車両の修理工場,倉庫などがあり,運河の対岸とはフェリーで連絡。 400種以上のランを集めた植物園があることでも知られる。人口 1952 (1980推計) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「バルボア」の意味・わかりやすい解説

バルボア

スペインのコンキスタドール(新大陸征服者)。1500年イスパニオラ島に渡り,1513年にはパナマ地峡を横断して,9月末にヨーロッパ人として初めてこの方向から太平洋に到達した。パナマ総督と不和になり,反逆罪に問われ処刑された。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「バルボア」の解説

バルボア
Vasco Núñez de Balboa

1475ごろ〜1517
スペインの軍人・探検家
1501年アメリカ大陸に渡り,1512年総督となった。先住民の案内でパナマ地峡を横断し,13年太平洋岸に到着。「南の海」と命名した。ペルーへの遠征を準備中,パナマ総督のペドラリアスにより反逆罪の名で処刑された。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「バルボア」の解説

バルボア
Vasco Núñez de Balboa

1475?~1519

パナマ地峡を横断して,1513年9月,当時「南の海」と呼ばれた太平洋に到達した最初のスペイン人。南の海の黄金帝国の噂を聞いてその探検を志したが,パナマ総督ペドラリアス・ダビラに反逆の疑いをかけられ,19年1月に処刑された。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android