日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルボア」の意味・わかりやすい解説
バルボア(Vasco Núñez de Balboa)
ばるぼあ
Vasco Núñez de Balboa
(1475―1517)
スペインの探検家。「南の海(太平洋)」の「発見」者。スペインのヘレス・デ・ロス・カバジェロスの生まれ。1501年ロドリゴ・デ・バスティーダス指揮の探検航海に参加してベネズエラからパナマの大西洋岸地方(ティエラ・フィルメ)を巡った。その後、サント・ドミンゴ市で暮らしたが、借金から逃れるため、樽(たる)の中に身を隠してふたたびティエラ・フィルメへ向かった(1510)。現地では、アロンソ・デ・オヘーダが率いた先発隊が、飢えや先住民の攻撃に苦闘していた。バルボアは、前の航海で入手した知識を生かして、安全な土地に新しい居留地ダリエンの建設を提案、実行するなどして仲間の信望を独占したが、一方では、植民権利保持者ディエゴ・デ・ニクエサを捕らえ、老朽船に乗せ、大海に放逐した。その後、ダリエン総督としてパナマ地峡地帯を探検中、土地の住民から、山越えに海が開け、黄金の地(ペルーのこと)があると知り、地峡縦断を敢行し、1513年9月25日、太平洋を「発見」した。この朗報を本国に送り、自らが黄金の地の開拓にあたるものと期待したが、本国が任命した総督ペドラリアス・ダビラによって逮捕され、処刑された。
[青木康征]