バーナ(読み)ばーな(その他表記)Bāa

デジタル大辞泉 「バーナ」の意味・読み・例文・類語

バーナ(Bāṇa)

インド小説家詩人。7世紀に活躍作品はサンスクリット美文体の典型とされる。歴史小説「ハルシャチャリタ」など。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーナ」の意味・わかりやすい解説

バーナ
ばーな
a

生没年不詳。7世紀の人。インドのサンスクリット伝奇小説作家。バーナバッタとも。劇作家としても有名なハルシャバルダナ王(在位606~647)の宮廷詩人として、王の威徳を称揚した歴史的小説『ハルシャチャリタ』(ハルシャ行跡)を書いた。この本によるとバーナはバラモンの出身で、熱心なシバ神崇拝者で、作品には宗教的な面も強く現れている。ほかに伝奇小説『カーダンバリー』、宗教的叙情詩チャンディー・シャタカ』がある。

[田中於莵弥]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーナ」の意味・わかりやすい解説

バーナ
Ḅāṇa

インドの作家,詩人。バーナバッタともいう。7世紀頃在世。バラモン出身で,ハルシャバルダナ (戒日王) の宮廷に仕え,シバ派の系統信仰をもっていたといわれる。作品には,ハルシャバルダナの業績を伝える小説『ハルシャ・チャリタ』,説話的な伝奇小説『カーダンバリー』 Kādambarī,抒情詩『チャンディーシャタカ』 Caṇḍīśatakaがある。

バーナ
burner

燃料を燃焼させるために,燃料を気体あるいは微粒子にして炉内に噴射して燃焼させる器具および装置。その使用燃料が微粉炭,油あるいはガスであるかによって,バーナの構造は異なり,それぞれ,微粉炭バーナ,油バーナ,ガスバーナと呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内のバーナの言及

【インド文学】より

…このほかにもバッタナーラーヤナBhaṭṭanārāyaṇa(7~8世紀),ビシャーカダッタViśākhadatta(9世紀),ラージャシェーカラ(10世紀)など多くの劇作家が輩出した。7世紀ころには散文の伝奇小説が台頭し,ダンディン,スバンドゥSubandhu,バーナBāṇaの3巨匠が相前後して出て,独特の分野を開拓した。 世界文学の上から最も重要な意義をもっているのはインドの説話文学である。…

【マユーラ】より

…生没年不詳。戒日王ハルシャ(在位606‐648)の宮廷詩人として有名なバーナBāṇaの義父(あるいは義兄)といわれる。恋愛抒情詩《マユーラ・シャタカMayūra‐śataka》と宗教的抒情詩《スーリヤ・シャタカSūrya‐śataka》を残した。…

【歴史】より

…スリランカに伝わる《ディーパバンサ(島史)》と《マハーバンサ(大史)》は,釈迦の時代から4世紀に至るこの島の仏教史と政治史を編年史的に記したものであり,カルハナが著した《ラージャタランギニー》は,古伝承,古写本,碑文などの諸資料を駆使して書かれたカシミールの王統史である。仏教徒の間に伝わるアショーカ王伝説や,7世紀の宮廷詩人バーナBāṇaの《ハルシャチャリタ(ハルシャ王一代記)》のような,偉人伝も書かれている。 これらの諸作品が,過去・現在のできごとを後世に伝えようという熱意の所産であることはいうまでもない。…

【インド演劇】より

…プラカラナの題材は作者の自由で,おもに恋愛を取り扱うが戦争を主題とすることもあり,幕の数はナータカと同じである。このほか10種のルーパカの1種にプラハサナprahasana(笑劇)という1幕のこっけいな茶番劇があり,同じような1幕の通俗劇でただ1人の俳優が演ずる独白劇バーナbhāṇaもある。中央アジアで発見されたアシュバゴーシャの戯曲断片の一つに,宗教的な抽象概念を擬人化して演技させる寓意劇(または譬喩劇)とよばれるものがあるが,後にクリシュナミシュラKṛṣṇamiśra(11世紀)は,ビシュヌ派の教義を宣揚した6幕の寓意劇《プラボーダチャンドローダヤPrabodhacandrodaya(悟りの月の出)》を出して劇壇に新しい形式の流行をもたらした。…

【シュードラカ】より

…特に第9幕の法廷の場は名高く,そのほかにも文化史的に興味ある多くの内容を含んでいる。シュードラカはまた,《パドマ・プラーブリタカPadmaprābhṛtaka》という古いバーナbhāṇaと呼ばれる独白劇の著者であるとみなされている。【上村 勝彦】。…

※「バーナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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