パイオニオス(読み)ぱいおにおす(英語表記)Paionios

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パイオニオス」の意味・わかりやすい解説

パイオニオス
ぱいおにおす
Paionios

生没年不詳。古代ギリシア彫刻家トラキアのメンデ出身で、活躍期は紀元前5世紀後半。1875年にオリンピアで発見された、大空から舞い降りる勝利の女神ニケの像(通称「パイオニオスのニケ」。オリンピア考古美術館)の作者。この大理石像は、当時ゼウス神殿の東側にあった高さ約9メートルの三角柱上に置かれていたもので、台座銘文から、メッセニア人とナウパクトス人が前421年のスパルタ人に対する戦勝を記念してつくられたものである。彼はまた、ゼウス神殿のアクロテリオンも飾ったことが知られている。紀元2世紀の紀行家パウサニアスは、彼がアルカメネスとともにゼウス神殿東破風(はふ)の彫刻も制作したと伝えているが、その真偽はさだかでない。

[前田正明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パイオニオス」の意味・わかりやすい解説

パイオニオス
Paiōnios

前5世紀後半のギリシアの彫刻家。トラキアのメンデのパイオニオスとして知られ,前5世紀後半に生存が推定されている。 1875年にオリンピアで発見された『ニケ』 (オリンピア考古学美術館) の像が現存し,これは前5世紀末のギリシア彫刻の代表的作風を示している。

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