天井画(読み)テンジョウガ

デジタル大辞泉 「天井画」の意味・読み・例文・類語

てんじょう‐が〔テンジヤウグワ〕【天井画】

天井装飾として描かれた絵画

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「天井画」の意味・読み・例文・類語

てんじょう‐がテンジャウグヮ【天井画】

  1. 〘 名詞 〙 天井に描かれた絵画。天井絵。
    1. [初出の実例]「重厚な格天井はその区画ごとに見事な天井画が描かれていた」(出典:安土往還記(1968)〈辻邦生〉三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「天井画」の意味・わかりやすい解説

天井画 (てんじょうが)

天井に施された絵画をいう。ここで天井というのは,木造建築に多い平天井のほか,石材や煉瓦などを用いるボールト穹窿),円蓋,半円蓋など,要するに建築空間の上部を覆う面をさす。

 天井画については,そこに何が描かれるかという問題といかに描かれるかという問題がある。前者に関しては,まず天井とはどのような意味をもつものかというところから考察を始める必要がある。天井は一般に,そしてとくに宗教建築において,天を象徴するものであり,地を象徴する側壁とは異なった主題が描かれる。側壁の延長として扱われる場合もないわけではないが,多くの場合は天井独自の主題が選ばれる。例えば,キリスト教教会堂の場合,〈キリストの昇天〉や〈聖母被昇天〉,また《ヨハネ黙示録》や預言書に拠る〈神の顕現〉などが天井にふさわしい主題である。また天を神の支配するところと見て,キリストと天使や使徒,あるいは抽象的に十字架と星の群などを描くこともある。さらに天を楽園と見て,花々や鳥あるいは唐草などを描くこともある。仏寺でも天井を蓮の花その他の天華で埋めつくしたり,千体仏あるいは天人の群などで満たすこともある(アジャンター敦煌など)。イスラムモスクが円蓋を植物の形態に由来する文様で覆いつくすのも同じ理由による。そしてこれらは多くの場合,特定の場景を表すときもモティーフを装飾的に並べるときも,空間に透視図法などによって奥行きをつけることはない。これに対して15世紀後半からイタリアでは空間に奥行きをつけはじめた(マンテーニャやメロッツォ・ダ・フォルリなど)。奥行きとは物質空間に関する問題であるが,空間が地上から空に向かって高く伸び上がってゆくさまを雲や天使や空飛ぶ人物によって暗示し,いわゆる短縮法も駆使されるようになる。この描法はバロック時代(ポッツォなど)に極度に達する。

 ところでこのような描法は建築装飾として重要な問題を提起する。つまり,透視図法による天井画は,現実にそこに無限に高い空があるような錯覚を起こさせることによって,天井をいわば突き破るのである。これに対して天井画に透視図法を用いないビザンティンやロマネスクの絵画は,青,金,白などの色彩をバックに抽象的に用いてそこに人像を配置することによって,非物質的・霊的な空間を設定しており,それはまた建築構造とも調和している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天井画」の意味・わかりやすい解説

天井画
てんじょうが
ceiling fresco

寺院や宮殿などの天井に描かれている絵。壁画の延長として洋の東西を問わず古くよりしばしば描かれた。その最古の例は旧石器時代の洞窟画にもみられるが,最も著名なものとしてはミケランジェロのシスティナ礼拝堂の天井画がある。日本でも安土桃山時代以後,極彩色もしくは墨で城郭や寺院の天井を飾った。寺院の天井画では水墨画による雲竜図が多い。 (→ソット・イン・ス )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「天井画」の意味・わかりやすい解説

天井画
てんじょうが

壁画

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android