最新 心理学事典 「パフォーマンス評価」の解説
パフォーマンスひょうか
パフォーマンス評価
performance assessment
パフォーマンス課題には,演技,発表といった実際の活動をはじめ,手続きの実行,状況や制約を想定したうえで問題解決を求める問題,概念地図や関連図の作成,問いを生成する活動,単語を次々と連想させる活動(ウェビング法)など多様な種類があるが,それらに共通する特徴としては,活動を通して学習者に表現を求める点,特定の知識や技能が含まれており活動のプロセスや成果を通してそれらが可視化される点などが挙げられる。とくに,人びとが現実社会で実際に直面する問題と同質,あるいは類似のパフォーマンス課題を用いる場合を,オーセンティック評価authentic assessmentという。
パフォーマンス評価は,何がどの程度遂行されたかについての判断が可能となるように評価規準と評価基準が明確化された目標準拠評価であるという点において,単なる実技テストとは異なっている。その評価基準づくりの主な方法論として提唱されているのがルーブリックrubricである。ルーブリックとは,パフォーマンスの質を把握,判断するためのツールであり,一般に,質の水準を示す数段階程度の尺度とそれぞれの点数に対応するパフォーマンスを説明した記述語から構成される評価基準表を意味する。教育目標を具体的なパフォーマンスとして記述することで目標と評価の一体化を実現すること,教師などの評価者がパフォーマンスの質を的確に解釈する指針として活用することを通して形成的評価として機能し指導と評価の一体化に寄与すること,学習者にとっては学習目標が具体的に示されることで自己評価の効果的な促進につながり学習と評価の一体化に貢献することが期待されている。
パフォーマンス評価では比較的長期にわたる学習活動を対象とすることもありうるが,その代表的な方法としてポートフォリオ評価portfolio assessmentが挙げられる。ここでいうポートフォリオとは,ある領域あるいは複数の領域における学習者の能力,努力,学習成果,成長を示す多様な成果物(作品,著作など)を意図的に集めたコレクションを指す。そこには絵,写真,作文,図表,自他からのコメント,録画録音テープなどが目的に応じて選択されて蓄積される。ポートフォリオ評価とはこのポートフォリオを学習や達成,成長を表わすエビデンスとしてとらえ,その質を把握し判断する方法である。自己評価,相互評価をも可能にするコミュニケーションのための評価ツール,また学習や成長を促す教育方法として位置づけることもできる。 →オーセンティック評価 →教育評価 →構成主義
〔鹿毛 雅治〕
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