パロス島(読み)パロストウ(英語表記)Páros

デジタル大辞泉 「パロス島」の意味・読み・例文・類語

パロス‐とう〔‐タウ〕【パロス島】

ParosΠάρος》ギリシャ南東部、エーゲ海に浮かぶ島。キクラデス諸島の中で3番目に大きく、中央部に位置する。中心地パリキアミコノス島サントリーニ島に並ぶエーゲ海の代表的な観光地古代には良質な白大理石産地として栄えた。西方約2キロメートルのところに浮かぶアンティパロス島ほかに、パロス島の周囲に12の小島がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パロス島」の意味・わかりやすい解説

パロス島
ぱろすとう
Páros

ギリシア、エーゲ海南部、キクラデス諸島の中央に位置する島。面積194平方キロメートル、人口1万2783(2001)。山がちで最高点は標高747メートル。地中海式農業が盛んで、ワインのほか、綿花、オリーブ、干しイチジク、タバコを特産する。

 紀元前三千年紀末の住居跡が確認されるが、キクラデス・ミケーネ文明崩壊後、イオニア人の定住地となった。アルカイック期には白色の良質大理石産地として繁栄を極め、タソス(タソス島)、パリウム(小アジア)などに植民を行った。叙情詩人アルキロコスはこの地の出身者である。前490年ペルシア統治下に入ったが、サラミス海戦のギリシア軍勝利後、アテネの同盟国となる。神話時代から前298/297年までのギリシアの歴史を包括する「パロス大理石碑文」Marmor Pariumとして有名な年代記は、前264/263年ごろに彫られたものである。前1世紀ローマに征服され、13~15世紀にはベネチア人の支配を受けた。1537年、オスマン帝国(トルコ)に併合されたが、独立戦争後1830年に新生ギリシアの一員となった。

[真下とも子・古川堅治]

『原随園著『パロス大理石碑文』(『ギリシア史研究余滴』所収・1976・同朋舎出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パロス島」の意味・わかりやすい解説

パロス島
パロスとう
Nísos Páros

ギリシア,エーゲ海南部,キクラデス諸島中部の島。同諸島最大のナクソス島の西に位置する。おもに大理石から成る島で,中央部に標高 771mの山がそびえ,その山麓は海岸平野に続く。西岸に中心集落パロスがある。初期青銅器時代のキクラデス文化圏に属するが,初めイオニア人,次いでアルカディア人に植民されたといわれる。前7世紀にはサソス (古代名タソス) 島やマルマラ海 (古代名プロポンティス) 沿岸に植民。パロス大理石として知られる彫像用の白色大理石を輸出して繁栄。のちプトレマイオス朝,次いでローマの支配下に入り,次第に衰退。 13世紀以降ベネチア領,1537年オスマン帝国領,1830年ギリシア領。現在,主産業は農業で,穀類,ブドウ,イチジク,オリーブ,タバコなどを栽培し,ワイン,大理石を産出。近年発掘作業が進められ,17世紀には『パロスの年代表』として知られる貴重な史料が出土している。面積 194km2。人口 7881 (1981) 。

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