デジタル大辞泉 「ひたひた」の意味・読み・例文・類語 ひた‐ひた [副]1 水などが繰り返し静かに打ち寄せて軽くものに当たる音や、そのさまを表す語。「ひたひたと波が岸辺を打つ」2 水が寄せてくるように物事が段々と迫ってくるさま。「敵がひたひた(と)押し寄せる」3 動作などがすみやかなさま。さっさと。「天井に―と上がりて」〈義経記・六〉[形動]中の物がやっとつかる程度であるさま。「だし汁をひたひたに加える」[アクセント]はヒタヒタ、または、ヒタヒタ、はヒタヒタ。[類語]徐徐に・だんだん・次第に・おいおい・漸次・次第次第に・歩一歩・一歩一歩・着着ちゃくちゃく・日に日に・日増しに・漸ようやく・年年ねんねん 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「ひたひた」の意味・読み・例文・類語 ひた‐ひた [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる )① 動作が滞りなく、すみやかであるさまを表わす語。さっさと。[初出の実例]「ひたひたと乗ってかけよ、物ども」(出典:平家物語(13C前)一一)「ひたひたと打解けず」(出典:合巻・偐紫田舎源氏(1829‐42)一〇)② 物が軽くぶつかる音、かるくたたく音などを表わす語。〔名語記(1275)〕[初出の実例]「朴木歯の下駄ひたひたと」(出典:たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉一二)③ 物が密着するさま、また、適合するさまを表わす語。ぴたぴた。[初出の実例]「わらっつ物がたりしてひたひたとしたしうしたぞ」(出典:玉塵抄(1563)二四)「濡れた桜の花瓣が〈略〉前掛や袂の上にもひたひたと附着いて居た」(出典:新梅ごよみ(1901)〈永井荷風〉二〇)④ 風が物に吹き当たる音や、水が岸・へりなどにうち当たる音、また、そのさまを表わす語。[初出の実例]「藺の花にひたひた水の濁り哉〈此筋〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)夏)「竿をとり、針を川へなげると見へしが、大きなる鯉のかかりて、ひたひたとはねる」(出典:咄本・軽口剽金苗(1747)上)⑤ 水が浸すように、次第次第に迫ってくるさまを表わす語。[初出の実例]「四方之攻口、人数の手賦、並法制等能に沙汰し、廿八日之朝より、ひたひたと取寄る」(出典:太閤記(1625)二)「立ち込めた霧は窓の傍までひたひたと迫って来た」(出典:家族会議(1935)〈横光利一〉)[ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 水が浅くて底に近く、物がつかるかつからないかの程度であるさま。料理用語としては、水・汁などに材料がやっとかくれるくらいひたるさまを表わす語。[初出の実例]「橋と水と、ひたひたにして」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例