改訂新版 世界大百科事典 「ヒバカリ」の意味・わかりやすい解説
ヒバカリ
Amphiesma vibakari
ナミヘビ科に属する日本固有の小型の無毒ヘビ。本州,四国,九州に分布する。全長40~65cm。体型は全身が細長く,頭部も小さく幅狭い。体背面は褐色または灰褐色で,正中線付近は赤褐色がかり,頭部には黄色の筋模様がある。腹面は淡黄色で,各腹板の両縁に暗色の小斑点が並ぶのが本種の特徴。丘陵から山地の森林にすみ,水辺や湿った場所を好む。夕方や薄暗い日中に行動することが多く,水中に潜むこともある。餌はおもにカエルや両生類の幼生で,魚,ミミズをもとらえる。夏に5~10個ほどの細長い卵を産む。性質はきわめておとなしいが,追い詰められると頸部(けいぶ)を曲げてあごを張り,胴を膨らませて身構える。このような行動からか,本種にかまれると命はその〈日ばかり〉,というのが名の由来となっている。しかしまったく無害。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報