日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒーズルウッド鉱」の意味・わかりやすい解説
ヒーズルウッド鉱
ひーずるうっどこう
heazlewoodite
数少ない金属過剰硫化物の一つ。類似鉱物にオレゴン鉱oregoniteがあるとされるが、この化学組成に疑問点があり、現在確定しているかぎり同類同系鉱物はない。自形は顕微鏡下で直線的輪郭で囲まれている結晶粒の報告はあるが、自形として復元されたものの報告はない。
超塩基性岩に伴われる正マグマ性鉱床中に少量成分鉱物として産する。日本では愛知県新城(しんしろ)市中宇利(なかうり)鉱山(閉山)の正マグマ性鉱床で磁鉄鉱を主とする鉄鉱石中に産し、また鳥取県日野(ひの)郡日南(にちなん)町若松鉱山(閉山)の磁鉄鉱化したクロム苦土鉱を主とするクロム鉱石中に微量を産した。
共存鉱物はペントランド鉱、コバルトペントランド鉱cobaltpentlandite(化学式Co9S8)、磁鉄鉱、クロム鉄鉱~クロム苦土鉱、シャンド鉱shandite(Ni3Pb2S2)、葉蛇紋石など。命名は原産地、オーストラリア、タスマニア島のヒーズルウッドHeazlewoodにちなむ。
[加藤 昭]