ペントランド鉱(読み)ぺんとらんどこう(その他表記)pentlandite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペントランド鉱」の意味・わかりやすい解説

ペントランド鉱
ぺんとらんどこう
pentlandite

ニッケル・鉄の硫化鉱物の一つで、前者の重要な鉱石鉱物。一時硫鉄ニッケル鉱という名称もあったが、同じ成分で別鉱物のビオラル鉱violarite(化学式FeNi2S4)があるため、用いられなくなった。正マグマ性鉱床接触交代鉱床スカルン型鉱床)中などに産するが、鉱床学的に重要なものは前者である。自形正八面体をなすが、非常にまれである。日本ではそのほとんどが顕微鏡的なもので、兵庫県大屋町(現、養父(やぶ)市大屋町)夏梅(なつめ)鉱山閉山)では磁硫鉄鉱と共存して球状集合をなし、京都府大江町(現、福知山(ふくちやま)市大江町)河守(こうもり)鉱山(閉山)では硫化物のみからなる鉱脈中に黄銅鉱、磁硫鉄鉱などと共存する。岩手県釜石(かまいし)鉱山(閉山)でも黄銅鉱、磁硫鉄鉱、キューバ鉱などとともに産する。英名アイルランドの自然科学者ペントランドJoseph Barclay Pentland(1797―1873)にちなむ。

加藤 昭 2018年7月20日]


ペントランド鉱(データノート)
ぺんとらんどこうでーたのーと

ペントランド鉱
 英名    pentlandite
 化学式   (Fe,Ni)9S8
 少量成分  Co,Ag,Cu,Pd
 結晶系   等軸
 硬度    3.5~4
 比重    4.6~5.0
 色     淡真鍮
 光沢    金属
 条痕    真鍮褐
 劈開    無。四方向に裂開
       (「劈開」の項目を参照)

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最新 地学事典 「ペントランド鉱」の解説

ペントランドこう
ペントランド鉱

pentlandite

化学組成(Fe,Ni)9S8 ペントランド鉱系列の鉱物。硫鉄ニッケル鉱とも。Fe/Ni≒5/1~6/7。コバルトペントランド鉱と連続固溶体をつくる。立方晶系,空間群Fm3m, 格子定数a0.9928nm, 単位格子中4分子含む。磁硫鉄鉱より黄色味の強い,明るい黄銅色,Agを固溶すると赤褐色味を帯びる。金属光沢,塊状,粒状。劈開{100}明瞭,裂開{111},硬度約5,比重4.6~5.0(測定値),4.956(計算値)。ビオラル鉱に交代され紫色を帯びる。ニッケルの重要な鉱石。正マグマ鉱床・苦鉄質岩中の鉱脈鉱床・スカルン鉱床・別子型鉱床・変成層状マンガン鉱床・隕石中から,磁硫鉄鉱・黄銅鉱・キューバ鉱・マッキーノ鉱・磁鉄鉱などとともに産出。アイルランドのJ.B.Pentland(1797~1873)にちなみ命名。

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改訂新版 世界大百科事典 「ペントランド鉱」の意味・わかりやすい解説

ペントランド鉱 (ペントランドこう)
pentlandite

硫鉄ニッケル鉱とも呼ぶ。特殊鋼などに用いられるニッケルのおもな原料鉱物。化学組成(Fe,Ni)9S8。等軸晶系,モース硬度3.5~4,比重4.6~5.0。真鍮(しんちゆう)色,金属光沢。へき開が{111}に発達し,肉眼では“へき開のある磁硫鉄鉱”に見える。カナダのオンタリオ州サドベリには磁硫鉄鉱,黄銅鉱,ペントランド鉱よりなる鉱石を産出する40以上の鉱床があり,世界一のニッケル産地となっている。これらの鉱床は隕石の衝突によって誘発された超塩基性マグマから分離した硫化物溶融体にニッケルと銅が濃集し(ニッケル1~4%程度),それが固結したものと考えられている。旧ソ連,オーストラリア,カナダなどにも超塩基性-塩基性岩に伴うニッケル硫化物鉱床があり,ペントランド鉱を含んでいる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペントランド鉱」の意味・わかりやすい解説

ペントランド鉱
ペントランドこう

「硫鉄ニッケル鉱」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のペントランド鉱の言及

【ニッケル】より

…1751年,スウェーデンの鉱物学者クロンステットA.F.Cronstedt(1722‐65)が初めてこれから新しい元素をとり出し,Kupfernickelにちなんでニッケルと命名した。おもな鉱石はペントランド鉱,ケイニッケル鉱,針ニッケル鉱,紅ヒニッケル鉱などである。隕石中にも存在し,地球の中心部には鉄とともに大量に存在すると考えられている。…

※「ペントランド鉱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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