改訂新版 世界大百科事典 「ビンガム」の意味・わかりやすい解説
ビンガム
Bingham
アメリカ合衆国ユタ州北部の鉱山。ソルト・レーク・シティの南32km,標高1860mにあり,ビンガム・キャニオンとも呼ばれる。低品位ではあるが,合衆国有数の銅鉱山で,1860年代に開発が始まった。鉱床はペンシルベニア系の堆積岩中の石灰岩層を交代した銅,鉛,亜鉛,銀の鉱床とモンゾナイト質斑岩中の網状ないし鉱染状の銅鉱床とから成るが,採掘の中心は銅鉱床で,外周で鉛・亜鉛鉱を採掘している。銅鉱床は長さ1.8km,幅1.2km,深さ750m以上もあり,鉱量10億tといわれる。銅の平均品位0.59%。モリブデンを伴い,二次富鉱帯に輝銅鉱,銅ラン(コベリン)を産する。渓谷に沿って馬蹄形に開発された露天掘りで採掘が行われ,二次富鉱体の鉱石はリーチング法により処理されている。露天掘りのために,深さ600mのすり鉢状の盆地が形成されている。階段状に採掘が行われ,貨車によって鉱石が運搬される。精錬所はソルト・レーク・シティの縁辺部に立地する。ケネコット社の主力鉱山で,ここの精錬所では,1995年に約31万tの銅,約1万tのモリブデンを産した。名称は,1848年入植したモルモン教徒ビンガムにちなむ。
執筆者:矢ヶ崎 典隆+山口 梅太郎
ビンガム
Hiram Bingham
生没年:1875-1956
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報