ビンディング(読み)びんでぃんぐ(英語表記)Karl Binding

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビンディング」の意味・わかりやすい解説

ビンディング(Karl Binding)
びんでぃんぐ
Karl Binding
(1841―1920)

ドイツの刑法学者。フランクフルト・アム・マインに生まれる。ゲッティンゲン大学に学び、1864年ハイデルベルク大学の私講師となり、以後バーゼルフライブルクストラスブールの諸大学教授を歴任してのち、1873年ライプツィヒ大学教授となり、生涯をここで過ごした。当時有力であった自然科学的思想やこれを基礎とした刑法理論、とくにリストのそれに対抗し、伝統的な客観主義刑法理論・応報刑論を擁護したことで有名である。数多くの著書を発表したが、そのなかで特筆すべきは、4巻5冊からなる大著『規範とその違反』であって、犯罪により犯人が違反するところの規範の構造が、これによって明らかにされた。

西原春夫


ビンディング(Rudolf Georg Binding)
びんでぃんぐ
Rudolf Georg Binding
(1867―1938)

ドイツの作家スイスのバーゼル生まれ。刑法学者Karlを父にもち法律や医学を学んだが、40歳ころまでは騎手、調教師として著名。数か月の精神錯乱を経て作家として生誕するという数奇な運命をたどる。第一次世界大戦従軍記『戦争の中から』(1925)は冷静な観察高邁(こうまい)な文体による優れた散文である。詩集『誇りと悲哀』(1922)や評論のためナチス賛同者とみられたが、自伝『体験された人生』(1928)や多くの短編小説で再評価されてきている。

[飛鷹 節]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビンディング」の意味・わかりやすい解説

ビンディング
Binding, Rudolf Georg

[生]1867.8.13. バーゼル
[没]1938.8.4. シュタルンベルク
ドイツの詩人,小説家。法学者の息子として生れ,初め法学,続いて医学を学んだ。文壇に登場したのは 40歳のときであったが,第1次世界大戦での体験をもとにした短編小説『身代り』 Der Opfergang (1912) はインゼル文庫のロングセラーとなった。のちナチスを支持。ほかに詩集『誇りと悲しみ』 Stolz und Trauer (22) ,自伝『生の体験』 Erlebtes Leben (27) など。

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