ロシアまんじゅう。ピロシキとよばれるが、正式にはピラシキーで、1個ならピラジョークпирожок/pirozhokであるが、習慣で1個でもピラシキーとよんでいる。ピロシキは俵形、棒形が標準形だが、大形、変形にはピローグпирог/pirog、ラステガイ、クレビャーカ、クールニクがある。表皮は小麦粉の練ったもので、イースト入り、バターの多いパイ皮式、ベーキングパウダー入りがあり、これで種々の中身を包む。中身は肉、魚、卵、米、野菜、ジャムなどで、調理は油焼き、油で揚げたり、天火焼きにする。
ピローグは四角、楕円(だえん)形、円形で、クレビャーカは背高いもの、棒状、細長いものがあり、両者とも数人分以上の大形で、切り分けて食べる。クールニクは小形と大形があり、鶏肉を入れる。ラステガイはピロシキの中央をすこしあけて中身をみせる。これらは温前菜、スープの付け合せ、中身が肉なら肉料理、魚なら魚料理の一品料理としても通用する。軽食、弁当にもなり、ジャム入りは茶うけとなる。ピロシキは比較的近代のものだが、ニコライ2世の戴冠(たいかん)式のときのメニューにもみえ、現在、空港、街頭でも売られ、粉料理の代表格で、その名は広く普及し、いつでもどこでも多くの人に親しまれている。
[長屋美代]
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