日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィンク」の意味・わかりやすい解説
フィンク
ふぃんく
Eugen Fink
(1905―1975)
ドイツの哲学者。フライブルク大学教授。フッサールの最晩年の助手を務めてその現象学を受け継ぎ、創造的な解釈を通して新たな可能性を切り開くとともに、ハイデッガーやニーチェ、初期ギリシア哲学者の影響のもとでその現象学に批判を加え、独自の現象学的存在論を唱えた。彼は、世界ないし宇宙に開かれた人間の存在のもつ意味を、自己の実存の内的証言から問い求めていった。そして人間存在の意味を、具体的な人間学的根本現象とされる労働、支配と闘争、愛、遊び、死の交錯と緊張のなかで、世界と世界内部的なものとの「宇宙・人間学的差異」に注目しつつ分析した。
[千田義光 2015年3月19日]
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