結核の化学療法剤イソニコチン酸ヒドラジド(イソニアジド)の通称としても用いられるが,化学ではカルボン酸の-OH基をヒドラジンの-NHNH2基で置換した形の化合物R-CO-NHNH2を総称していう。アミド結合とアミノ基が含まれている点で,性質,製法とも酸アミドR-CO-NH2とよく似ている。カルボン酸エステルをヒドラジン水和物と加熱すると得られる。
エステルの代りに酸塩化物や酸無水物を使っても同じように反応する。酸アミドに比べて加水分解されにくいが,条件が激しいと加水分解されてカルボン酸になる。ヒドラジドに亜硝酸を作用させるとカルボン酸アジドR-CO-N3を生成する。カルバミド酸H2N-CO-OHのヒドラジドはセミカルバジドH2N-CO-NHNH2と呼ばれ,カルボニル化合物と縮合して結晶性のよいセミカルバゾンH2NCONHN=CR2を与えるので,カルボニル化合物の同定に使うことができる。
執筆者:小林 啓二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
酸ヒドラジドともいう.ヒドラジンのアシル誘導体RCONHNH2(Rはアルキル基,アリール基).カルボン酸エステル,酸塩化物または酸無水物にヒドラジンを作用させると得られる.
RCOOC2H5 + H2NNH2 →
RCONHNH2 + C2H5OH
そのほか,ウレイドに次亜ハロゲン酸塩を作用させると生成する(ホフマン反応).
ヒドラジドは塩基性の白色の結晶で,還元性を示す.亜硝酸を作用させると酸アジドを生成する.
RCONHNH2 + HNO2 → RCON3 + 2H2O
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イソニコチン酸ヒドラジドのことで、イソニアジドと略称される代表的な抗結核剤の一つ。
[編集部]
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