フォルクマン拘縮(読み)ふぉるくまんこうしゅく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォルクマン拘縮」の意味・わかりやすい解説

フォルクマン拘縮
ふぉるくまんこうしゅく

急激な動脈血行障害によって前腕の主として回内屈筋群が変性・拘縮をおこす疾患で、不可逆性の阻血性筋壊死(えし)と神経障害がみられる。原因としては、小児の上腕骨顆上(かじょう)骨折時の緊迫したギプス固定、あるいは骨片圧迫による上腕動脈のけいれんなどが知られ、不適切な治療によっておこる後遺症である。激甚な疼痛(とうつう)のあることが特徴的で、脈拍の減弱、指の色調の蒼白(そうはく)、麻痺(まひ)や感覚異常もみられる。速やかに肢位を変えたり外固定を除去して阻血を防ぐが、阻血徴候が消えない場合は速やかに専門医の外科治療を受ける必要がある。現在ではこの予防のため、上腕骨顆上骨折の整復後に行う肘(ちゅう)関節の鋭角屈曲位における副子(ふくし)固定や切割のないギプスは禁忌とされている。なお、初めてこの疾患を報告したフォルクマンRichard von Volkmann(1830―89)は、ドイツの外科医である。

[永井 隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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