日本大百科全書(ニッポニカ) 「フクロギツネ」の意味・わかりやすい解説
フクロギツネ
ふくろぎつね
brush-tailed possum
[学] Trichosurus vulpecula
哺乳(ほにゅう)綱有袋目クスクス科の動物。フクロリスともよばれる。オーストラリア、タスマニア島と周辺の島に分布し、またニュージーランドでは移入されたものが野生化している。頭胴長45~60センチメートル、尾長27~38センチメートル、体重1.5~5キログラム。顔はキツネに似て、耳介は狭く長い。尾は太く円筒形で、キツネの尾に似る。体毛は羊毛状で、体色は銀灰色から黒色、茶色、ときには白色のものまであり変化に富む。雌には育児嚢(のう)があり、乳頭は2~4個ある。おもに森林にすむが、木のない平原にもすみ、また都市近郊にすんで人家の軒を隠れ家にすることもある。夜行性で、昼間は樹上の隠れ家で休息する。おもに木の葉、木の実、花などを食べるが、鳥の卵や雛(ひな)なども食べる。妊娠期間は16日で、普通1産1子で、まれに2子。子は3か月ぐらい育児嚢内で育てられる。寿命は10年ぐらいである。
[中里竜二]