出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
常緑硬葉をもつ高木または低木の群落。亜熱帯の冬雨夏乾の地域に発達する常緑広葉樹林、照葉林(照葉樹林)に近似するが、樹木の葉は小さくて硬く、乾燥に対する耐性が強い。地中海沿岸、カリフォルニア、南アフリカのケープ地方、オーストラリアの南西部にみられる。地中海沿岸では日本のウバメガシに近縁のイレックスガシの林が中心であるが、伐採、野火、放牧などによって破壊され、高さ1メートル以下のコッキフェラガシなどの低小な硬葉樹の群落に退行している所が多い。中近東とイベリア半島では樹種がさらに多い。カリフォルニアでもイレックスガシ近似の常緑のカシの林が主体で、これも野火で破壊されるとチャパラルとよばれる低木林に退行する。ケープ地方ではプロテア、ロイコデンドロンなどのヤマモガシ科の樹木が多く、オーストラリア南西部でもバンクシアなどのヤマモガシ科の種類が多い。硬葉樹林帯はどこでも植物の種類が多く、固有種に富んでいる。
[大場達之]
…熱帯季節林(熱帯雨緑林)は,乾燥度が強まるにつれて,巨大高木層がなくなり,乾季に上層だけが落葉するものから全体が落葉するものに変わる。湿潤な暖温帯には優占種のある常緑広葉樹林が成立し,大陸東岸の夏雨気候は照葉樹林で,西岸の冬雨気候は硬葉樹林となる。熱帯の乾燥帯では,温帯での草本とは異なり,とげ低木が優占する。…
…熱帯の山地にみられるこれと同様の森林は山地多雨林montane rain forestといわれ,きわめて多湿で枝や樹幹にはコケなどが密生し,雲霧林cloud forestあるいはコケ林mossy forestともよばれる。 硬葉樹林sclerophyllus forest夏季は降水が少なくて乾燥し,冬季は低温であるが雨の多い気候下でみられる森林である。葉は小型革質で厚く堅い。…
※「硬葉樹林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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