ドイツの指揮者。トスカニーニと並んで20世紀を代表する巨匠。ベルリン大学考古学教授を父として1月25日ベルリンに生まれる。初め作曲を学んだが、1906年指揮者としてデビュー。リューベック、ついでマンハイムの歌劇場で経験を積みつつ、ドイツ各地に客演して頭角を現した。22年名指揮者ニキシュの後任としてライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団ならびにベルリン・フィルハーモニーの指揮者に就任、ドイツの指導的な指揮者としての地位を確保、ついでワインガルトナーの後任としてウィーン・フィルハーモニーの指揮者も兼任、さらにバイロイト音楽祭やベルリン国立歌劇場の総監督も務めた。国外での活動も増え、25年のニューヨーク・フィルハーモニーをはじめ各地に客演。第二次世界大戦中ドイツにとどまって活動したため、戦後、戦犯容疑をかけられたが無罪。47年活動を再開するや、ヨーロッパの主要ポストをほとんど手中に収め、ヨーロッパ楽界に君臨した。肺炎のためバーデン・バーデンで54年11月30日死去。その指揮は激しい緊迫感と深い感動を伴うと評されたが、それは作品を再創造する演奏を目ざし、つねに徹底した作品解釈を怠らなかった賜物(たまもの)である。なかでもベートーベン、ワーグナー、ブルックナー、ブラームスは高い境地を示しており、絶品と称賛され、残された多くのレコードによってその一端をうかがうことができる。
[岩井宏之]
『ベルント・W・ヴェスリング著、香川檀訳『フルトヴェングラー/足跡――不滅の巨匠』(1986・音楽之友社)』▽『脇圭平・芦津丈夫著『フルトヴェングラー』(岩波新書)』▽『C・リース著、八木浩・芦津丈夫訳『フルトヴェングラー――音楽と政治』(1983・みすず書房)』▽『芦津丈夫・石井不二雄訳『フルトヴェングラーの手記』(1983・白水社)』▽『芦津丈夫訳『フルトヴェングラー 音と言葉』(1978・白水社)』
ドイツの考古学者、美術史学者。著名な指揮者ウィルヘルムの父。ギリシアのオリンピア遺跡の発掘調査に参加、さらにベルリンの博物館で研究を続け、ベルリン大学、ミュンヘン大学などで教授、並行してミュンヘン古代博物館館長を務めた。その間ギリシア各地で古代遺跡・遺品などの発掘調査活動に従事し、アテネで没した。紀元前4、5世紀のギリシア彫刻や彫刻宝石(ジェム)などのほか、さらに古い時代の陶器、陶器画など広く古代ギリシアの美術を研究し、美術考古学の領域に大きな業績を残した。古代関係の著書は多いが、ウルリヒスと共著の『ギリシア・ローマの彫刻』(1911)に邦訳がある。
[鹿島 享]
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