ブソッティ(読み)ぶそってぃ(その他表記)Sylvano Bussotti

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブソッティ」の意味・わかりやすい解説

ブソッティ
ぶそってぃ
Sylvano Bussotti
(1931―2021)

イタリア作曲家。生地フィレンツェケルビーニ音楽院バイオリン、作曲、ピアノを学んだのち、パリでマックス・ドイッチュMax Deutsch(1892―1982)に作曲の個人教授を受けた。国際現代音楽協会イタリア支部の作曲コンクールに4回入賞(1961、1963、1965、1972)。1971~1973年ラクイラ美術アカデミーで音楽劇の歴史の講座を担当。1975~1977年ベネチアのフェニーチェ歌劇場の芸術監督。1980年フィエーゾレ音楽院の作曲、音楽分析の講師に就任した。彼の作品は、音列作法によるものや図形楽譜による偶然性の音楽など、手法のうえで多様であると同時に、絵画、舞台、映画での活動を通して総合芸術的傾向を示していた。おもな作品として、ジョン・ケージの影響を受けた『デービッド・チューダーのための五つのピアノ曲』(1959)、室内神秘劇『サドによる受難曲』(1965~1966)、ロマンティック・メロドラマ『ロレンザッチョ』(1972)、バレエ水晶』(1973)、バレエ『フェードラ/ヘリオガバルス』(1981)、メロドラマ『霊感』(1988)などがある。

[寺田由美子]

『山口昌男著『オペラの世紀――山口昌男音楽対談集』(1989・第三文明社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ブソッティ」の意味・わかりやすい解説

ブソッティ
Sylvano Bussotti
生没年:1931-

イタリアの作曲家。生地フィレンツェの音楽院でバイオリン,ピアノを学ぶが,卒業直前に中退。1957-58年パリで作曲家ドイッチュMax Deutschに師事する。59年ダルムシュタットの国際現代音楽夏期講習で《D.チューダーのための五つのピアノ曲》を初演,注目された。これには抽象絵画のようなグラフィックな記譜法もみられる。61年には朗読・声と器楽のための《トルソ》,63年には声と5楽器の《イル・ヌード》が,国際現代音楽協会のコンクールでそれぞれ第2位,第1位に入賞。その後は《サドによる受難曲》(1965)などのようにセクシュアルな幻覚の絶対的表出ともいえるような演劇的なものへと向かい,オペラ《ロレンツァチオ》(1972),バレエ曲《水晶の山》(1973)などを生み出している。彼は自分の舞台作品の装置や衣装も手がけ,近年はストラビンスキーの《兵士の物語》,プッチーニの《ジャンニ・スキッキ》などの舞台美術にまで手をのばしている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「ブソッティ」の解説

ブソッティ

イタリアの作曲家。《デーヴィド・テューダーのための5つのピアノ小品》(1959)は、大胆な図形楽譜の使用によって知られている。フィレンツェのケルビーニ音楽院で学んだが、中退している。前衛的な芸術運動 ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

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