チューダー

百科事典マイペディア 「チューダー」の意味・わかりやすい解説

チューダー

英国の舞踊家,振付家。ロンドン生れ。マリー・ランバート〔1888-1982〕にバレエを学び,ランバート・バレエ団入団ショーソン曲による《リラの園(ライラック・ガーデン)》(1936年),マーラー曲の《暗い悲歌(ダーク・エレジー)》(1937年)など初期の代表作を振り付ける。1939年米国に渡り,バレエ・シアター(現アメリカン・バレエ・シアター)の創設に参加,シェーンベルク曲の《火の柱》(1942年),ディリアス曲の《ロミオ(ロメオ)とジュリエット》(1943年),W.シューマン曲の《底流》(1945年),マーラー曲の《風の影》(1948年)など数多くの作品を発表。特に《火の柱》を主演したノラ・ケイ〔1920-1987〕が一夜にしてスターとなった話は有名。舞踊演技が一体化したチューダーの作品は,人間の心理の動きを表現する独自の境地を開拓した。→バウシュ
→関連項目ロビンズ

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改訂新版 世界大百科事典 「チューダー」の意味・わかりやすい解説

チューダー
Antony Tudor
生没年:1908-87

イギリスの舞踊家,振付師。ロンドン生れ。1930年バレエ・ランバートに入団,《リラの園》(1936,ショーソン曲),《暗い悲歌》(1937,マーラー曲)を振り付けたが,1939年L.チェーズに招かれてアメリカに渡り,彼女の〈バレエ・シアター〉(アメリカン・バレエ・シアター)の創設に参加。2年後,同団の主任振付師になった。現代の振付師の中でもロマンティックで抒情性ゆたかな作風で知られる。それは単なる装飾的な踊りでなく,舞踊と演技が区別できないほど一元化してドラマの中に組み込まれている。ストーリー・テラーとしての資質に恵まれ,人間の苦悩に対する彼の共感のゆえに〈人間の悲哀の振付師〉とか,かつてバレエが知らなかったニュアンスと洗練されたデリカシーで人間の心理の奥底を洞察するために〈心理表現の振付師〉といわれた。代表作として他に《火の柱》(1942,シェーンベルク曲),《風の影》(1948,マーラー曲)などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チューダー」の意味・わかりやすい解説

チューダー
ちゅーだー
Antony Tudor
(1908―1987)

イギリスのバレエ振付家。ロンドンに生まれる。ランベールに師事、若くして作品をつくり始め、バレエ・ランベール(現ランベール・ダンス・カンパニー)で名作『リラの園』(1936)、『暗い悲歌』(1937)などを上演。バレエのもつスペクタクル性を排し、革新的な意欲のあふれるものであった。1940年アメリカに移住、創設期のアメリカン・バレエ・シアターに参加、ノラ・ケイなどのダンサーを使い、『火の柱』(1942)、『底流』(1945)などを上演した。60年代は低迷したが、75年の『葉は色あせて』は傑作である。

[市川 雅]

『片岡康子編著『20世紀舞踊の作家と作品世界』(1999・遊戯社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チューダー」の意味・わかりやすい解説

チューダー
Tudor, Antony

[生]1909.4.4. ロンドン
[没]1987.4.19. ニューヨーク
イギリスの舞踊家,振付師。本名 William Cook。 M.ランバートに学び,1931年『クロス・ガーター』を発表し振付師の道を開き,『ライラック・ガーデン』 (1936) ,『暗い悲歌』 (37) などモダン・バレエ史上画期的な作品を次々に発表。アメリカに渡ったのち,『火の柱』 (42) をアメリカン・バレエ・シアターのために作った。人間関係や性格をバレエ的な動きによって示すという作風で,心理学的バレエといわれた。ジュリアード音楽院教員,メトロポリタン・オペラ・バレエの芸術監督や付属バレエ学校長,アメリカン・バレエ・シアターのアソシエート・ディレクターなどを歴任。

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世界大百科事典(旧版)内のチューダーの言及

【ヒンドゥー教】より

…男子のヒンドゥー教徒は,伝統的な人は今日でも頭頂に少し髪を残している。この髪をちょんまげのように束ねたものをシカー(またはチューダー)という。女性はクンクムと称する印を額につける。…

※「チューダー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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