ブラントーム(その他表記)Pierre de Bourdeille, abbé de Brantôme

改訂新版 世界大百科事典 「ブラントーム」の意味・わかりやすい解説

ブラントーム
Pierre de Bourdeille, abbé de Brantôme
生没年:1540?-1614

フランスの回想録作家。名門貴族の出で,宮廷にもよく出仕したが,放浪好きの性格からヨーロッパ各地をかけまわり,また武人として数々の戦闘に参加した。1584年落馬事故により行動の自由を失って以来,郷里に引きこもって著述に専念し,過去の豊かな体験や見聞をもとに,《フランス著名武将伝》《著名貴婦人伝》など膨大な量の回想的作品を書き綴った。そのうちで,今日なお広く読まれているのは,《著名貴婦人伝》の第2部にあたる《好色女傑伝(艶婦伝)les Dames galantes》で,性的に奔放であったルネサンス末期の貴婦人たちにまつわる生々しいエピソードを,大らかな筆致でスケッチした作品。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラントーム」の意味・わかりやすい解説

ブラントーム
Brantôme, Pierre de Bourdeille, abbé de

[生]1540頃.ペリゴール,ブールデイユ
[没]1614.7.5. パリ
フランスの回想録作者,軍人,廷臣。ナバール王の宮廷で成人し,パリ,ポアティエで法律を学んだ。生涯の大半をフランス各地,ヨーロッパ諸国の漫遊と戦争への参加に費やした。宗教戦争ではカトリック側に参加したが,1584年落馬して重傷を負い公的生活から引退。自身の豊富な体験や見聞を記した『高名貴女列伝』 Vies des dames illustres,『貴紳武人列伝』 Vies des hommes illustres et des grands capitaines,『艶婦伝』 Vies des dames galantesなどがあり,『回想録』 Mémoiresとして死後出版 (1665~66) された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラントーム」の意味・わかりやすい解説

ブラントーム
ぶらんとーむ
Pierre de Bourdeille, seigneur de Brantôme
(1540ころ―1614)

フランスの回想録作者。南西部ペリゴールの名家に生まれる。生来好奇心放浪癖から諸外国を転々とし、フランスでは旧教側にたち宗教戦争に参加した。宮廷に出入りし、僧禄(そうろく)も得ていたが、1584年ごろ落馬事故で体が不自由となり、以後著作に専念した。『フランス名将偉人伝』『好色女傑伝』などを含む『回想録』(没後刊、1665~66)は豊富な見聞の集成である。深い思索や史料的正確さにはやや欠けるが、叙述は甚だ機知と生彩に富んでいる。

[大久保康明]

『鈴木豊訳『好色女傑伝』上下(講談社文庫)』

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