ブランド・エクイティ(読み)ぶらんどえくいてぃ(英語表記)brand equity

翻訳|brand equity

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブランド・エクイティ」の意味・わかりやすい解説

ブランド・エクイティ
ぶらんどえくいてぃ
brand equity

商品やサービスそのものの価値とは別に、ブランド名や商標が生み出す知名度やイメージなどの付加価値全体をさす概念邦訳は「ブランドの資産価値」。カリフォルニア大学名誉教授のデビッド・アーカーDavid A. Aaker(1938― )が1980年代に提唱した概念である。以後、無形資産であるブランド・エクイティの活用は、マーケティング戦略上重要であるとの認識が定着し、企業戦略だけでなく、会計学や経営法務にも大きな影響を与えた。

 アーカーは商品やサービスの価値を「機能そのものの価値」と「ブランド・エクイティ」に分解し、価値の大きさを決めるのはブランド・エクイティであると主張した。ブランド・エクイティを(1)知名度(認知)、(2)ブランドに抱くイメージ(知覚品質)、(3)ブランド名を聞いて想起する商品像(連想)、(4)ブランドへの愛着ロイヤルティ)、(5)法的保護、商標などその他の資産、の5要素に整理して、分析する考え方を提示した。ブランド・エクイティをアンケート調査や財務データを活用して数値化する試みも進んでいる。たとえば、アメリカのコンサルティング会社、インターブランド社Interbrand Corp.は毎年世界の企業ブランド価値のランキング公表。2009年の1位はコカ・コーラ、2位IBM、3位マイクロソフト、4位ゼネラル・エレクトリックGE)、5位ノキアであった。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブランド・エクイティ」の意味・わかりやすい解説

ブランド・エクイティ
ブランドエクイティ
brand equity

エクイティの語源ラテン語の平等で,公正,公平の意味だが,エクイティ・ファイナンス (新株発行に伴う資金調達) など主に企業資産用語としてアメリカなどでは使われる場合が多い。こうしたことから,ブランド・エクイティはブランドを一つの企業資産として積極的に評価しようという考え方。これを高めるには単に品質がよいというだけでなく,社会に受入れられる企業イメージを長期的視点に立って高めていかなければならない。環境,人権問題などに努力する企業のブランドはエクイティが高いといえる。

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