ブルサ(読み)ぶるさ(英語表記)Bursa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブルサ」の意味・わかりやすい解説

ブルサ
Bursa

トルコ北西部の都市で,ブルサ県の県都。マルマラ海南岸より約 20km,ウル山(2543m)の北北西麓の丘陵に位置する。前3世紀,ビティニアの王によって建設されたとみられる。ビザンチン時代を通じて繁栄したが,11世紀末にセルジューク・トルコ領(→セルジューク朝)となった。1096年の第1次十字軍以来しばしば支配者を変え,1204年のコンスタンチノープル略奪後は,十字軍に対するビザンチンの抵抗運動の中心地となった。1326年にオスマン帝国の第一首都となり,1413年に首都がエディルネに移ったのちも成長と繁栄を続け,17世紀まで帝国の三首都の一つとされた。ウル・ジャーミ,イェシェル・ジャーミなどのモスクのほか,オスマン帝国の建国者であるオスマン1世,メフメット1世などの墓がある。15世紀には生糸交易の中心で,17世紀までには絹織物でヨーロッパ,アジアに知られ,綿・羊毛織物とともに今日も盛ん。缶詰,酪農製品,機械などの工業もある。イスタンブールとは空路で結ばれる。2014年,近郊のジュマルクズックとともに,オスマン帝国発祥の地として世界遺産の文化遺産に登録された。人口 173万4705(2013推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルサ」の意味・わかりやすい解説

ブルサ
ぶるさ
Bursa

トルコの小アジア半島北西部の都市。マルマラ海沿岸から南東25キロメートルに位置する。ブルサ県の県都。人口119万4687(2000)、トルコ第四の都市である。ウル・ダァ山(2543メートル)の北麓(ほくろく)にあって緑樹が美しく、「緑のブルサ」とよばれる。オスマン帝国の古都として歴史に富み史跡も多く、温泉も湧出(ゆうしゅつ)し、ウル・ダァ山にはスキー場もあるなど観光・保養地として有名である。伝統的な絹織物、刺しゅうの産があるほか、精糖・自動車工業も立地する。バス交通の要衝で空港も所在する。町の起源は紀元前200年ごろのプルサPrusaにまでさかのぼる。オスマン帝国2代目君主オルハンの治世の紀元後1326年に首都に選ばれ、1369年にエディルネにその地位を譲るまで、数十年にわたって政治の中心地であった。この地に葬られる君主も多く、初代君主のオスマン廟(びょう)や2代君主のオルハン廟、タイルの美しさから「緑の廟」とよばれるメフメト1世の廟などがあり、またイェシル・ジャミ(緑のモスク)やウル・ジャミ(大モスク)などの華麗な建造物もみられる。考古博物館、イスラム博物館、大学も所在する。

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