日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルームバーゲン」の意味・わかりやすい解説
ブルームバーゲン
ぶるーむばーげん
Nicolaas Bloembergen
(1920―2017)
アメリカの物理学者。オランダのドルドレヒトに生まれる。1938年ユトレヒト大学に入学したが、第二次世界大戦でオランダはナチスに占領され、大学が閉鎖されるなど困難な状況で勉学を続けた。終戦直後にアメリカのハーバード大学で研究の機会を得て、初期の核磁気共鳴実験に参加、その成果により1948年にオランダのライデン大学で博士号を取得した。翌1949年にハーバード大学に戻り、1951年準教授、1957年教授となり1990年まで務めた。1958年にはアメリカの市民権を獲得している。また、カリフォルニア大学バークリー校、ライデン大学、パリの国立高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)などで客員教授を務めた。
1954年にメーザーが発明されると、その改良に取り組み、三準位および多準位の固体メーザーを開発した。その後、タウンズとショウロウがメーザーの拡張としてレーザーの可能性を提唱、1960年にレーザー装置が発明された。そこでブルームバーゲンはレーザー装置を用いて、位相のそろったレーザー光を物質に当てたところ、従来とは違う光学現象を発見した。研究を重ねた結果、非線形光学とよばれる新しい学問分野を開拓した。1981年に「レーザー分光学の発展への貢献」によって、ショウロウとともにノーベル物理学賞を受賞した。高分解能電子分光学の発展への貢献が認められたシーグバーンも同時受賞であった。
[編集部 2019年1月21日]