日本大百科全書(ニッポニカ) 「タウンズ」の意味・わかりやすい解説
タウンズ
たうんず
Charles Hard Townes
(1915―2015)
アメリカの物理学者。サウス・カロライナ州グリーンビルの生まれ。19歳でファーマン大学を卒業、1939年カリフォルニア工科大学で学位を得た。第二次世界大戦中、マイクロ波レーダーの研究をしていたとき、空洞共振器を小形化するには電子回路よりも分子を利用すべきであるとの着想を得た。分子や原子はボルツマン分布に従ってエネルギー分布が決定されるが、ある状態を励起すると、負温度分布とよばれる熱力学的に非平衡な状態となる。その状態に微小なマイクロ波を入力すると、原子・分子は誘導放出をおこしてマイクロ波の増幅ができる。タウンズはこれをメーザーと名づけた。これらの業績により、1964年、バソフ、プロホロフとともにノーベル物理学賞を受賞。1967年より1986年までカリフォルニア大学教授を務め、その間宇宙物理学に興味をもち、電波天文学にも業績がある。1986年以後同大学名誉教授。
[佐藤 忠]
『霜田光一訳『レーザーはこうして生まれた』(1999・岩波書店)』