プレミアム付き商品券(読み)ぷれみあむつきしょうひんけん

共同通信ニュース用語解説 「プレミアム付き商品券」の解説

プレミアム付き商品券

支払額を上回る物品サービスと交換できる商品券。消費税率10%への引き上げに伴う景気対策として、政府券面の上積み部分の費用や事務経費を負担し、市区町村商工会議所などに委託して発行する。2014年の消費税率8%への引き上げ後に発行した時は全住民を交付対象とするケースが目立ったが、今回は比較的所得の低い人と子育て世帯に限った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プレミアム付き商品券」の意味・わかりやすい解説

プレミアム付き商品券
ぷれみあむつきしょうひんけん

購入額に一定額を上乗せしてモノやサービスを購入できる商品券。たとえば、消費者が8000円で購入し、1万円分買い物できるような商品券をさす。不況災害、増税時などに国、地方自治体、商工会議所、商店街などが家計の負担を軽減し、消費を刺激して地域経済を活性化する目的で発行する。上乗せ率をプレミアム率とよび、通常プレミアム率は10~50%である。利用期間や消費地域を限定することが多い。国民だれもが購入できる場合と、低所得者など対象を絞るケースがある。観光振興などのため、旅行代金から一定額を割り引く旅行券もプレミアム付き商品券の一種である。国や自治体が上乗せ分の全部または一部と事務経費を補助することが多く、その場合、定額給付金の一種とみなすことができる。プレミアム付き商品券は定額給付金と同様、一定の消費押し上げ効果を期待できる半面、消費喚起効果は限定的でばらまき政策との批判をよびやすい。

 もともと1990年代に、地方自治体主導で始まった。日本政府は2015年(平成27)の消費増税時(5%→8%)に、交付金を使ってプレミアム付き商品券(総額2372億円)を全住民を対象に発行し、2019年(令和1)の消費増税時(8%→10%)には、子育て世帯や住民税非課税世帯に限定してプレミアム付き商品券(1人上限2万5000円、プレミアム率25%、予算総額1225億円)を発行。2016年の熊本地震の際には、九州への観光客を誘致するため、国の助成で旅行代金を最大70%割り引く「九州ふっこう割」を発行した。新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)が拡大した2020年には「Go Toキャンペーン」として、プレミアム付き商品券などを発行した。ただ内閣府や総務省試算では、プレミアム付き商品券などの景気押し上げ効果は総支給額の3~4割にとどまる。

[矢野 武 2021年5月21日]

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