ヘリポート(読み)へりぽーと(英語表記)heliport

翻訳|heliport

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘリポート」の意味・わかりやすい解説

ヘリポート
へりぽーと
heliport

法律に定められている飛行場のうち、ヘリコプター発着のために用いられるものをいう。ヘリコプターはつねに垂直に離着陸するとは限らず、離陸時の重量や気温・気圧などの条件によっては、短い滑走を行ったり前進しながら上昇するほうが性能上有利なことがあり、また運用面からも有利なため、発着にはある程度の広さが必要である。そこで日本では航空法施行規則に、ヘリポート滑走路の長さや着陸帯の広さによって区分し、陸上は四つ、水上は二つの等級を設けている。したがって法律的には、ヘリポートとはヘリコプターの発着のために恒久的な設備を施した正規の飛行場をいい、救難、農薬散布、報道などのために山上校庭などに臨時に設置したものは、正しくはヘリポートとはいえないことになる。ヘリポートのうち、おもにヘリコプターの特性を利用して、都会高層ビル屋上などに設置されるものの場合は、ヘリポート自体の広さだけではなく、周囲の建物や構築物によって着陸帯や進入経路が制限を受けない配慮や、ヘリコプターが浮揚して前進しビルの屋上を外れたときの地面効果の急減による性能の急変、浮揚直後のエンジン停止時の不時着対策、ビル内の燃料貯蔵の安全対策、騒音抑制、ビル屋上の強度の確保などの問題を解決しなければならない。また定期旅客輸送を行うには、空港としての設備が必要であり、人口密集地帯を通過するための航路の設定にも安全上の配慮が必要で、都市内のビル屋上の本格的なヘリポートの設置は容易とはいえない。

[落合一夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘリポート」の意味・わかりやすい解説

ヘリポート
heliport

飛行場の一種で,もっぱらヘリコプタの離着陸に使用する場所。比較的小さい敷地に飛行場と同じく着陸帯が設けられ,その周囲の空中に進入表面,水平表面,転移表面が設定される。また着陸帯から誘導路を経て駐機場にいたり,それに面して格納庫,給油施設,管理棟などの施設をもつところもある。他方,着陸帯だけの簡単なものはヘリパッドとかヘリストップと呼ばれる。設置に際しては国土交通大臣の許可が必要。公共用ヘリポートは旅客輸送などだれでも使える施設で,日本では東京ヘリポート,静岡ヘリポートなど自治体が設置管理しているが,数は少ない。非公共用ヘリポートは新聞社,放送局,企業などが設置し,建物の上に設けた屋上ヘリポートもみられる。それらのうち病院ヘリポートは救急患者の搬送に使うもので,全国各地に増えつつある。また農薬散布や山中の建設工事のために一時的に使う場所は臨時ヘリポートと呼び,使用期間をかぎって国土交通大臣の許可を受ける。ヘリポートの標識は,日本では大きな円の中にHの文字を描く。アメリカでは通常大きなHだけを描くが,病院ヘリポートは白十字の中に赤いHを描くことが多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android