国際民間航空条約の規定ならびに同条約の付属書として採択された標準・方式および手続に準拠して,航空機の航行の安全および航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め,ならびに,航空機を運航して営む事業の秩序を確立し,もって航空の発達を図ることを目的とする法律(1952公布)。旧航空法は国際航空条約に基づいて1921年に公布されたが,50年,国内航空運送事業令の制定により廃止され,さらに同令にかわって制定されたのが現在の航空法である。この法律の適用を受ける航空機とは,人が乗って航空の用に供することができる飛行機,回転翼航空機(ヘリコプター),滑空機(グライダー)および飛行船等である。本法は,航空機の義務的な登録制,航空機の安全性確保のための諸措置,航空従事者,航空路・飛行場・航空保安施設,航空機の運航,航空運送事業等,外国航空機等に対する規制を定めているが,大別すれば,(1)航空機の航行の安全を図るための規制,および,(2)航空機を運航して営む事業の秩序確立のための規制,に分けられる。航空機の登録制(3条以下)は,当該航空機に日本の国籍を取得させるものであり,航行・国内使用等において外国航空機との取扱いに差異が生ずる。次に,航空機の安全性を図るため,運輸大臣は航空機の耐空性を確保するのに必要な証明および検査を行うものとされ,この耐空証明を受けていない航空機は航空の用に供することができず,また,耐空証明において指定された用途または運用限界の範囲内でなければ航空の用に供することができない(10条以下)。運輸大臣は,航空業務を行おうとする者について,各種の資格別(操縦士,航空士,機関士,通信士,整備士)に航空従事者技能証明を行い(定期運送用操縦士等の場合は,航空機の種類に限定が付され,航空機の等級,型式についても限定が付されることがある),かつ,航空機に乗り組んでその運航を行おうとする者につき航空身体検査証明を行って規制を加えている(22条以下)。
飛行場・航空路・航空保安施設については,これらが航空機の運航上いずれも必要な直接的施設または助成施設であるところから,技術上の安全性を含めて厳重な設置基準が定められている(37条以下)。飛行場と航空保安施設の設置については運輸大臣の許可を要する。その許可申請の審査にあたり,運輸大臣は公聴会の開催を義務づけられており,また,完成時には運輸大臣の検査を必要とする。最後に,空中交通の安全と秩序を維持するために,航空機に備えるべき装置,航空機に乗り組ませなければならない者,機長の資格・権限・義務,飛行の規則,航空交通管制の方式等の規制を定め,事故防止に万全を期している。また,定期・不定期航空運送事業,利用航空運送事業および航空機使用事業の分類に基づき,いずれも免許事業とする一方,特に定期航空運送事業については厳しい免許基準を定め必要な規制を加えている(100条以下)。外国航空機および外国の航空運送事業については,相互主義を原則とし,条約と国際慣行に従って必要十分な規制をするものとしている。なお,自衛隊の使用する航空機等ならびに自衛隊が設置する飛行場および航空保安施設については,航空法の一定の規定の適用が除外されている(自衛隊法107条)。
→航空運送事業
執筆者:福家 俊朗
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航空に関する法。狭義でいう空法と同じ。世界の各国はそれぞれ航空条約を結び、国内法の航空法または航空法典をもっている。わが国では国内法としては、1952年(昭和27)の航空法が現行法となっている。この航空法は1944年のシカゴ国際民間航空条約と条約付属書に準拠して、航空の安全を図る方式と航空事業の秩序を確立し、航空発達を目的としている。内容は、総則、航空機の登録と安全性、航空従事者、航空路、飛行場、航空安全施設、航空機の運航、航空運送事業、外国航空機などに関する事項について定めている。
[池田文雄]
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