ヘロフィロス(読み)へろふぃろす(英語表記)Herophilos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘロフィロス」の意味・わかりやすい解説

ヘロフィロス
へろふぃろす
Herophilos
(前300ころ―?)

古代ギリシアの医学者。カルセドン地方の生まれ。アレクサンドリア人体解剖、動物解剖を初めて公に行ったといわれる。脳神経の解剖に詳しく、大脳小脳、第四脳室、脳膜を記載し、腱(けん)と神経とを明確に区別し、脳を神経系の中心と考え、運動神経知覚神経を分けている。十二指腸の命名者とされている。臨床面では治療薬として多くの新薬を使い、瀉血(しゃけつ)を賞用した。

[大鳥蘭三郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘロフィロス」の意味・わかりやすい解説

ヘロフィロス
Hērophilos

前 300年頃アレクサンドリアに住んでいたギリシアの外科医,解剖学者。最初に死体剖検を行なった一人で,多くの解剖学的新知見を示し,解剖学の父ともいわれる。ことに脳や脊髄を系統的に記述し,ヘロフィロス交会 (静脈洞交会) に今日もその名が残っている。保温,感覚,思考,栄養を生体の四支配力とし,病理面ではヒポクラテス遺法を守り,体液病理説の注釈書をつくった。臨床上は,薬剤を用いるほか,栄養や物理療法が治療に有効であることを説いた。「治癒するかしないかの分別をわきまえるものが最良の医師」という彼の言葉は今日も生きている。

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