ベニジウム(その他表記)Venidium fastuosum Stapf.

改訂新版 世界大百科事典 「ベニジウム」の意味・わかりやすい解説

ベニジウム
Venidium fastuosum Stapf.

南アフリカに約20種あるキク科ベニジウム属Venidiumの1種。カンザキジャノメギク(寒咲蛇の目菊)ともいわれる。切花や鉢植え,花壇に冬から春の花として栽培することが多い。草丈30~90cm,葉は倒披針形で羽状に深裂し,茎,つぼみともに深々とした綿毛におおわれている。頭花は径6~7cm,周辺の舌状花は美しいオレンジ色で,弁底に漆黒色の帯斑(おびふ)があり,これが蛇の目に見える。花心の管状花は小さく,暗紫色光沢があり,1茎1花で,日中に開き夕刻には閉じる。種まきはふつう9月末,育苗は初め小鉢で凍らない程度に日当りのよい場所で越冬させるのがよく,加温すると徒長を招く。暖地では8月上旬にまいて年末から冬の間に切花とするが,一般には鉢で育苗したものを春に花壇やプランターに植え出して3~4月に咲かせる。花後たくさんの種子ができるので,枯熟したときにもみほぐして採種する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベニジウム」の意味・わかりやすい解説

ベニジウム
べにじうむ
[学] Venidium

キク科(APG分類:キク科)の半耐寒性一年草または多年草。南アフリカに20~30種分布する。株全体が白色の軟毛で覆われる。よく知られるファストゥオースムV. fastuosum Stapfは高さ60~90センチメートル。基部で分枝し、径60センチメートルにも茂る。花は橙(だいだい)色で径7~9センチメートルの大輪一重、中心に褐紫色の蛇の目模様があり、3~5月に茎の先端につく。主として暖地で切り花用に露地栽培される。またデクレンスV. decurrens Less.は草丈はやや低く、花は径約6センチメートルの黄金色で、花の中心が暗色で一重。温暖で乾燥する条件のもとでよく育つ。9月に床播(ま)きして年内に定植する。早春に温室内で播種(はしゅ)してもよい。

[植村猶行 2022年4月19日]

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百科事典マイペディア 「ベニジウム」の意味・わかりやすい解説

ベニジウム

南アフリカ原産のキク科の一属。一年草または多年草で,約20種がある。よく栽培されるのは一年草のジャノメギク。80cm内外の高さになり,葉は羽状または波状に切れこみ,茎とともに白色綿毛がある。秋まきにし,3〜5月に径7〜9cmの頭花をつける。舌状花はだいだい色で褐色の蛇(じゃ)の目の輪が入る。筒状花は黒褐色。日中開花し,暗くなると閉じる。また,種間雑種も作られて花色の変化も見られるようになっている。

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