ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草)
ベニバナイチヤクソウ
Pyrola incarnata
イチヤクソウ科の多年草。北海道,本州中部以北の高山,千島,アジア大陸東部から北東部,北アメリカに分布し,冷温帯から亜寒帯の林中に生える。根茎は横に伸び,長い匐枝がある。葉は長さ3~5cmの柄があって根ぎわから数枚群生する。葉身は円状楕円形で長さ3~5cm,幅 2.5~4.5cm,光沢がある。花期は6~7月。花茎は長さ 15~25cmで稜角があり,1~3枚の鱗片葉をもち,7~15花をつける。花は径 1.2~1.5cmで紅紫色,短い柄の基部に包葉がある。萼は5枚,長さは幅の3~4倍で残存する。おしべは 10本,葯 (やく) は赤紫色。めしべは1本で,花柱は花から長く突出して彎曲する。蒴果は径7~8mm。ほかのイチヤクソウ類と異なり群生するのが普通で,和名は花色に基づく。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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ベニバナイチヤクソウ
べにばないちやくそう / 紅花一薬草
[学] Pyrola incarnata Fisch.
イチヤクソウ科(APG分類:ツツジ科)の多年草。葉は根生し、広楕円(こうだえん)形、常緑で表面は光沢がある。6~7月、高さ15~25センチメートルの花茎を出し、桃色の5弁花を斜め下向きに開く。包葉は狭長楕円形、先は急に短くとがる。山地から亜高山の乾いた明るい林内、とくにカラマツ林下に多く群生し、中部地方以北の本州、北海道、および朝鮮半島、中国、東シベリア、カムチャツカ半島、千島列島に分布し、近縁種が北アメリカに分布する。
[高橋秀男 2021年5月21日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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「ベニバナイチヤクソウ」の意味・わかりやすい解説
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世界大百科事典(旧版)内のベニバナイチヤクソウの言及
【イチヤクソウ(一薬草)】より
…イチヤクソウや中国産のP.rotundifolia L.の全草を乾かしたものを鹿蹄草(ろくていそう)といい,ピロラチンpirolatinやアルブチンarbutinなどを含有し,避妊の作用が認められているし,日本では脚気の民間薬とされる。 イチヤクソウ属Pyrola(英名shinleaf∥wintergreen)は北半球の温帯に約20種あり,日本の亜高山帯には葉が円く,淡紅色の花のベニバナイチヤクソウP.incarnata Fischerがある。【山崎 敬】。…
※「ベニバナイチヤクソウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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