ベラスコ(読み)べらすこ(英語表記)Juan Velasco Alvarado

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベラスコ」の意味・わかりやすい解説

ベラスコ(Juan Velasco Alvarado)
べらすこ
Juan Velasco Alvarado
(1910―1977)

ペルー軍人で「ペルー革命」を進めた大統領。北部のピウラで貧しい労働者の子に生まれ、入隊。陸軍大学を経て陸軍総司令官に昇進し、高等軍事大学(CAEM)で改革主義的教育を身につけた。アメリカの石油会社IPCとの協定問題を契機にベラウンデ政権を倒し、軍事革命政権を樹立(1968)。農地改革、外国企業の国有化、労働者・農民の自主管理・経営参加、大衆の政治社会動員の促進(SINAMOS)、インディオの統合、革命外交などを進め、ペルーの自立と近代化を目ざした。しかし上からの改革への国民の支持不足、資金難による外資への従属、軍内部の対立などに対して、病を得たベラスコは対処できず、1975年穏健派のモラーレスFrancisco Morales Bermúdez将軍(1921―2022)の無血クーデターにより退陣した。

[乗 浩子]


ベラスコ(David Belasco)
べらすこ
David Belasco
(1853―1931)

アメリカの俳優プロデューサー、演出家、劇作家。少年期から演劇狂で、生地サンフランシスコ内外で多様な芝居修業を積み、1882年ニューヨークに進出、20世紀初頭のブロードウェー興隆期に広範な活動を展開した。文学性ではなく劇的効果を重視し、徹底した写実的な舞台づくりと、そのための照明技術のくふうで名高い。戯曲は共作が多く、メロドラマ性が強い。代表作として、プッチーニオペラ原作となった『蝶々(ちょうちょう)夫人』(1900)がある。また、実業家による演劇界支配の打破にも活躍した。

[一ノ瀬和夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベラスコ」の意味・わかりやすい解説

ベラスコ
Belasco, David

[生]1853.7.25. サンフランシスコ
[没]1931.5.14. ニューヨーク
アメリカの演出家,劇作家,劇場経営者。多くの脚色,翻案をするとともに,ベラスコ劇場を経営。演出の面では,照明を利用して戦争や火事の場面に迫真的な舞台効果を出した。 C.フローマンらの劇場シンジケートと闘って,アメリカ演劇の自由と独立の確立に貢献。代表作はジョン・ルサー・ロングの小説を脚色した『蝶々夫人』 Madam Butterfly (1900) で,これはのちに G.プッチーニのオペラの原本となった。

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