ペルー革命(読み)ペルーかくめい(英語表記)La revolución peruana

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルー革命」の意味・わかりやすい解説

ペルー革命
ペルーかくめい
La revolución peruana

1968~80年ペルーの革命軍事政権のもとで進められた革命。 68年 10月クーデターで F.ベラウンデ・テリー政府を倒した軍部は,J.ベラスコ・アルバラド将軍を大統領とする軍事政権のもとで,農地改革法 (1969) ,鉱業改革基本法 (70) ,漁業関係基本法 (71) の制定を通じて大土地所有制度の打破資源に対する国家管理権の拡大,外国資本活動制約などを果した。一方,工業共同体法 (70) の制定,社会的動員支援のための国民組織の設置などを通じて,社会変革に国民を参加させる政策を実施。長く政治,経済,社会を支配してきた寡頭支配を崩壊させ,ペルー社会を大きく変容させた。対外的には社会主義国との国交樹立,アンデス共同市場の推進,領海 200カイリの主張,発展途上国グループとの積極的協力など,従来の対米依存政策から大きく転換した政策をとった。しかし経済状況の悪化と政治的不安を招き,75年8月 25日無血クーデターにより,F.モラレス・ベルムデス将軍が大統領に就任,民間企業の重視や対米関係の調整など,穏健な政策に移行した。ペルー革命特徴は,軍部が長期間にわたって政権を担当し革新的な政策を行なってきたことである。このような革新的軍事政権登場の背景には,文民政権の無力・腐敗に対する軍部の不信,農村ゲリラの活動,軍部の高等教育機関である高等軍事研究センターが革新的な知見能力をそなえた軍人たちを育成したことなどが考えられる。

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