日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペヒシュタイン」の意味・わかりやすい解説
ペヒシュタイン
ぺひしゅたいん
Max Pechstein
(1881―1955)
ドイツの画家。12月31日ツウィッカウに生まれる。ドレスデン美術学校に学び、1906年同地で表現主義のグループ「ブリュッケ」(橋派)に加盟、08年グループとともにベルリンに移る。同地で新ベルリン分離派を組織し、10年その代表者となる。この時期までの初期の作品には、表現主義的な要素に装飾性を加味した作風がみられ、比較的理解されやすい絵であったため、「ブリュッケ」のメンバーに先駆けて世俗的な成功を収めた。14年作風の転換を求めて南洋諸島の旅に出発し、パラオ島で先住民と生活をともにした。19年以降ベルリンに定住し、旅の収穫である異国的な偶像の表現を作風に取り入れた。とくにパラオ島の風物をモチーフとする葦(あし)ペンのデッサンは彼の最高の業績とされる。33年ナチスによって制作を禁止されたが、第二次世界大戦後ベルリン高等美術学校の教授に返り咲いた。55年6月29日ベルリンで死去。
[野村太郎]