ホーキンズ(英語表記)John Hawkins

改訂新版 世界大百科事典 「ホーキンズ」の意味・わかりやすい解説

ホーキンズ
John Hawkins
生没年:1532-95

イギリスの航海者,海将。Hawkynsとも書く。プリマスの生れ。一族に海事関係者が多い。1562-63年イギリス人としては最初の奴隷貿易を試み,以後64-65年,67-68年と都合3度西インド諸島に航した。最後はスペイン艦隊の攻撃にあい完全に失敗。72年国会議員,同時に海軍主計官として戦力の増強,軍の合理化に尽力。88年スペイン無敵艦隊イギリス海峡に迎撃,この戦いを勝利に導いた。95年プエルト・リコ沖に没。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホーキンズ」の意味・わかりやすい解説

ホーキンズ
Hawkins(Hawkyns), Sir John

[生]1532. プリマス
[没]1595.11.12. プエルトリコ沖
イギリスの奴隷商人,海軍軍人。父ウィリアム,兄ウィリアムはともに船長,貿易商人でプリマス市長。父の跡を継ぎ,アフリカでの交易に従事,ギニー海岸でポルトガル商人から奪った黒人を南アメリカで売ってイギリス最初の奴隷売買を行い (1562~64) ,ポルトガル,スペインの商人を刺激し,メキシコのスペイン植民地で船を没収された。 1577年から海軍省に勤め,イギリス海軍の改良に貢献,船員のために病院を建設。 88年提督としてスペインの無敵艦隊と戦い,ナイト爵を叙爵。 95年 F.ドレークとともに 27隻の船舶を率いてスペイン領西インド諸島の襲撃を試みたが,プエルトリコ上陸前夜に病死。

ホーキンズ
Hawkins(Hawkyns), Sir Richard

[生]1560頃
[没]1622.4.18. ロンドン
イギリスの航海者,海軍軍人。 J.ホーキンズの子。 1585~86年 F.ドレークの西インド遠征に参加しスペイン船を襲撃。 88年スペインの無敵艦隊との戦闘に参加。 90年父に従ってスペイン海岸を襲撃。 93年6月プリマスから世界周航に出帆し,南アメリカの南端を回って西海岸を北上中,94年6月ペルー沖でスペイン艦隊と戦って重傷を負い,捕虜になってスペインに連行された。 1602年釈放されイギリスに帰還。翌年プリマス市長に選出された。 04年海軍副司令官。 20年アルジェリアのバーバリー海賊を攻撃するための遠征艦隊に参加した。

ホーキンズ
Hawkins, Eric

[生]1909. コロラドトリニダード
[没]1994.11.23. ニューヨーク
アメリカの舞踊家。バレエ・ダンサーとして出発し,1935年からアメリカン・バレエ・シアターバレエ・キャラバンなどに在籍。 38年 M.グラハム舞踊団に入り,グラハムの相手役としてモダン・ダンス界で活躍,2年間グラハムと結婚生活を過した。 51年から作曲家 L.ドルゴゼウスキーや彫刻家 R.ドラジオと組んで小舞踊団を結成,"Here and Now with Watchers " (1957) などアブストラクト作品を作って世界を巡演した。

ホーキンズ
Hawkins, Coleman

[生]1904.11.21. ミズーリセントジョーゼフ
[没]1969.5.19. ニューヨーク
アメリカのジャズテナーサックス奏者。 10代後半で楽界入りし,1923年にフレッチャー・ヘンダーソン楽団に参加。 34年には単身渡欧,39年に帰国。代表ヒット曲は,『ボディ・アンド・ソウル』。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホーキンズ」の意味・わかりやすい解説

ホーキンズ(John Hawkins)
ほーきんず
John Hawkins
(1532―1595)

イギリスの私掠(しりゃく)船長、提督。プリマスの商人の子に生まれる。奴隷貿易商人の草分けで、1562~63年、西アフリカで黒人をかどわかし、西インドのスペイン人植民者に売却して巨利を博した。ドレークも参加した第3回航海(1567~69)でスペイン艦隊に襲われ、財宝も船も失ってからはしばらく船を離れ、72年国会議員になり、78年には海軍財務長官に就任して軍艦の改善に尽くした。88年スペインのアルマダ(無敵艦隊)の来襲時には司令官の1人として参戦し、ナイトに叙された。90年にはフロビッシャーとともにポルトガル遠征艦隊の指揮官を務めたが、5年後ドレークとともに西インド遠征航海に赴き、船上で病没。

[松村 赳]


ホーキンズ(Richard Hawkins)
ほーきんず
Richard Hawkins
(1562?―1622)

イギリスの私掠(しりゃく)船長、提督。ジョンの子。1585~86年のドレークの西インド遠征に参加し、88年のスペインのアルマダ(無敵艦隊)の来襲時には艦長として従軍した。90年の父のポルトガル遠征にも参加。93年大西洋を南下し、マゼラン海峡を経てメキシコ太平洋岸のスペイン人植民地を襲い、財宝を奪ったが、翌年負傷して投降、まもなくスペインに送られ、1602年まで投獄された。帰国後はナイトに叙され、国会議員に選ばれた。20~21年アルジェリア海賊に対する討伐艦隊の副司令官を務めた。『南海航海記・1593年』(1622)の著書がある。

[松村 赳]


ホーキンズ(Coleman Hawkins)
ほーきんず
Coleman Hawkins
(1904―1969)

アメリカのジャズ・テナーサックス奏者。ミズーリ州生まれ。1923年フレッチャー・ヘンダーソン楽団に参加。34年に退団し、ヨーロッパに渡って活躍、39年に帰国。彼独自のスタイルと優れた演奏によってテナーサックスをジャズの重要な楽器とした偉大な先駆者。40年代にはビ・バップを理解して演奏。その発展にも寄与した。

[青木 啓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ホーキンズ」の意味・わかりやすい解説

ホーキンズ

英国の私掠(しりゃく)船長。スペインの独占していた黒人奴隷貿易に英国人として初めて1562年ころから従事。のち海軍に入り艦隊強化に努め,1588年副司令官としてスペイン無敵艦隊撃破に貢献した。ドレークとともにスペイン領西インド攻撃にいく途中病没。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ホーキンズ」の解説

ホーキンズ
John Hawkins

1532~95

イングランドの私拿捕(しだほ)船船長。ブリストル市長の次男。1562年頃から奴隷貿易に従事。のち海軍に入り,88年スペインの無敵艦隊来襲の際には,副司令官としてその撃破に貢献し,騎士の称号を受けた。カリブ海遠征中に病死。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「ホーキンズ」の解説

ホーキンズ
John Hawkins

1532〜95
イギリスの提督
イギリス最初の奴隷貿易に従事。のち海軍軍人となり,スペインとのアルマダ海戦に参加し,勝利に導いた。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android